東京都唯一の日本二百名山・御岳山(みたけさん・標高929m)。登山口から歩き始めると、穏やかな森の中から爽やかな滝の音が聞こえてくる。登山道周辺の山肌は例年10月下旬から色づき、まるで絵画のような美しさに包まれる。東京都心からわずか1時間強でアクセスでき、日帰りでも楽しめる御岳山は、初心者からベテランまで幅広い層の支持を得ている。

 今回は、紅葉シーズンの御岳山を楽しんできたときの様子をお伝えする。ぜひ参考にしてほしい。

■アクセスの良さと登山口への道のり

 起点はJR中央線・御嶽駅である。新宿駅から青梅特快を利用、青梅駅乗り換えで約1時間半で到着。御嶽駅前のバス乗り場から「ケーブル下行き」のバスに乗り、約30分で滝本駅登山口に到着する。バスは本数も多く、朝早くから登山を開始することも可能だ。

 滝本駅登山口までの道中、沿道には山の新鮮な空気が漂い、旅の期待感が高まる。紅葉シーズンには、バスの車窓から赤や黄に染まった山肌が見え、これからの登山に期待が高まってくる。

 体力に自信のない方は、到着したバス停から出ている御岳ケーブルカーを利用すれば、時間と体力を節約できる。

バスの窓から見える山々。秋は紅葉、春は新緑が美しい

■御岳山の登山ルートと所要時間

 御岳山の登山道はよく整備されており、歩きやすい。初心者でも安心して登れるコースが多く、途中に「綾広の滝(あやひろのたき)」や「ロックガーデン」と呼ばれる岩場も点在する。

 訪れたこの日は、朝9時に滝本駅登山口を出発。最初は体を慣らすのにちょうどよい緩やかな傾斜が続く。森の中に木漏れ日が差し込み、鳥のさえずりや土の香りが心地よく、足取りも軽やかになる。ペースはゆったりと、自然の息づかいを感じながら歩きたい。

 その後は岩場が増えてきて、岩と森が織りなす風景が広がる。まるで別世界に迷い込んだような感覚だ。カメラを構えたくなる美しいポイントも増えてくる。やがて道は開け、出発から2時間半で御岳山の山頂にたどり着く。標高929mからの眺望は想像以上に雄大。晴れた日には関東平野を一望でき、遠く奥多摩の山並みまでくっきりと見渡せる。特に紅葉シーズンは、赤や黄色に染まった山肌が広がり、360度のパノラマが鮮やかに彩られる。

 御岳山山頂で景色を満喫したのち、綾広の滝を経由して、日の出山山頂を目指す。御岳山山頂からおよそ30分で人気のスポット「綾広の滝」に到着する。水量豊かな滝が勢いよく流れ落ち、辺り一面に涼やかな水しぶきとマイナスイオンが漂う。静かな森に響く滝の音は心を鎮め、深呼吸をすると体の中まで澄んでいくような感覚になる。しばし足を止め、自然の涼風に包まれて登山の醍醐味を味わった。

 日の出山山頂で絶景を楽しんだあとは雑木林の尾根を歩く日の出山コースで下山。帰路の途中で「つるつる温泉」に立ち寄った。スタートからおよそ5時間かけて休憩や写真撮影を挟みながらのスローペースだったが、山頂からの絶景や変化に富んだ山歩きで飽きることなく楽しい1日となった。

日の出山山頂からの絶景