■エサ台から始まった小さな信頼関係

「ミニガラ」の行動は大胆で、よく室内でくつろいでいる

 季節が巡るたびに、森の表情は変わる。春の芽吹き、夏の深緑、秋の紅葉、冬の静けさ。そんななかでヤマガラは、まるで季節の案内人のようである。冬になると羽をふくらませて丸くなり、寒さの中でもひまわりの種をついばむ姿には、たくましさと愛らしさが同居している。

ログハウスを離れる時はいつも玄関先にいるヤマガラ

 特に印象に残っているのは、雪の降った朝の出来事である。あたり一面が白銀に包まれ、森が静まりかえっていたそのとき、「ツイー、ツイー」という声が窓の外から響いてきた。そっとカーテンを開けると、いつものヤマガラが柵の上にちょこんと佇んでいる。その声は、静寂の中で「ここにいるよ」と存在を知らせてくれる、大切な合図となっている。

■森の暮らしと、日々の癒し

どこで見ているのか、別の部屋に居てもヤマガラたちは近くにやってくる

 里山で暮らすということは、決して華やかなことばかりではない。虫の多い季節もあるし、冬は雪かきや凍結との闘いになることもある。けれど、そんな不便の中にこそ、自分の手で整え、築いていく暮らしの喜びがある。そしてそこに、思いがけない訪問者ヤマガラのような存在があることで、日々の暮らしがいっそう愛おしくなる。

■自然と共にあるということ

そっと差し出した手に、ためらいもなく舞い降りたヤマガラ

 自然と共に生きるということは、互いに干渉しすぎず、けれど無関心でもいないという距離感を大切にすることかもしれない。ヤマガラとの関係は、まさにその象徴だ。