●設営ゼロで焚き火三昧!  “車中泊キャンプ”という選択肢

車中泊の時は明るいうちから焚火を楽しむのが筆者のスタイル

 長年のキャンプ愛好家として、焚き火は至福のひと時。テントを張らずにもっと簡素化して自然を満喫したい時がある。そんな気分を満たしてくれるのが、車中泊とキャンプの「いいとこ取り」だ。テントの設営・撤収の手間を省きたい時や、出発が遅れた時にこの融合は効果的である。

ペグが打ち込みづらいキャンプ場には、車中泊者が多く集う

 日中は車内で昼寝や読書を楽しみ、外で焚き火をはじめながら食事と晩酌を満喫。パチパチと薪の音を聞きながら炎を眺める時間は、まさにキャンプ時間さながらだ。

 あたりが暗くなる19頃まで焚き火を堪能したのち、車内でくつろぐ。この車中泊とキャンプの融合こそ、筆者が求めるもう一つのスタイルなのだ。

●自然の音と炎に癒される夕食タイム

アレンジしてホルモン鍋に投入していくので、おかず兼つまみに最高の食材

 川のせせらぎを聞きながら、焚き火で作る料理は格別。梅雨入り前の空がまだ明るい17時過ぎに夕食の準備に取り掛かり、ゆったりとした時間を過ごすのは何事にも変えがたい心地よさがある。

冷凍ホルモン鍋、ごぼうこんにゃく、ミックス野菜。締めのうどんまでお腹に入らなかった

 この日の夕食は、ローソン限定の冷凍ホルモン鍋。キャンパーに人気の通称「ローホル」である。これに野菜類を加えて自分好みにアレンジしながら、焚き火の上でじっくり煮込む。最後はうどんにしようと考えていたが、お腹は満たされてしまった。

 まだ明るい時間に焚き火の炎を眺めながら、ゆっくり食事と晩酌を楽しむ、ほぼ完璧と言えるリラックスタイムは、日々の喧騒を忘れさせてくれる。

結局、熾火になるまで焚火を楽しんでしまう

●車内シアターで過ごす特別な時間

車内でハイボールを片手に映画鑑賞

 焚き火で温めたホルモン鍋を堪能し、日が暮れてから車内へと移動。時間はまだ20時。次の楽しみは映画鑑賞だ。筆者はソロキャンプでも映画を楽しんでいる。普段の生活では、映画に浸る時間がなかなか取れないからこそ、こうした機会は貴重である。

 狭小な車内での映画鑑賞は、ソロキャンプと比べても秘密基地感が強く、その分、映画の世界にどっぷりと入り込める。気づけば、2作目の映画に突入していたことも少なくない。

●雨の日こそ実力発揮!  車中泊の魅力と朝の過ごし方

ワンボックスのドアはタープ代わりに丁度いい。白鷺を眺めながらの特別な朝食

 翌朝7時30分、予報通りの雨音で目が覚めた。天候に左右されにくいのは車中泊の強みである。もしこれがキャンプだったら、雨の中での撤収作業となっていた。

 ワンボックス車のバックドアを開け、雨音を聞きながらの朝食。ふと視線を上げると、川に白鷺が舞い降りてきた。そんな風景を眺めながらの朝食は、日常では味わえない特別な時間だ。

至る所に水溜りが出来ていたが、車中泊ならいつでも移動可能である

 車中泊なら、土砂降りも気にならない。濡れずにいつでも移動できる身軽さがあるからこそ、時間を有効に、そしてのんびりと過ごすことができる。

20分ほど車を走らせて「日本の名湯百選」の七沢温泉へ。蛇口からの湯も天然温泉である

 朝食後すぐに移動、朝9時には目的の温泉へと向かい、朝湯を満喫。たった1泊の車中泊で小旅行気分を味わい、心身ともにリフレッシュした週末となった。

■気軽に楽しめる「車中泊」に出かけよう!

左の棚(DIY)と開閉式のテーブルが非常に使いやすい

 初めて車中泊に挑戦するなら、車内の温度が高過ぎず、低過ぎない15〜20℃目安の時期がおすすめだ。具体的には、ゴールデンウィーク明けや10月頃が狙い目。過ごしやすい気候の中で、快適な車中泊デビューができるはずだ。

 筆者にとって車中泊は、宿泊と移動手段を兼ね備えた「自由」そのもの。気の向くままに行動範囲を広げられるのが、このスタイル最大の魅力だと思っている。

 温泉地を巡ったり、気になる道の駅に立ち寄ったり、ノープランでただひたすら気持ちの良い場所を求めて移動するのが、車旅ならではの醍醐味である。

 工夫次第で自分の好きなことに没頭できる車中泊は、誰にとっても魅力的な旅のスタイルだと思う。興味ある方は、ぜひ自分だけの時間を楽しんでほしい。