2025年の春、日本国内では複数の大規模な山火事が発生し、各地に甚大な被害をもたらした。4月7日には大阪府豊能郡豊能町と箕面市の市町境にある青貝山(あおがいやま・標高391.2m)山頂、及びその一帯でも山火事が発生し、原因は登山者の煙草の不始末とみられている。
今回、青貝山の山火事跡を視察し、目の当たりにした光景を通して、改めて登山者としての責任と心得について深く考えたい。
■山火事の痕跡と影響



青貝山山頂の眺望はない。しかし、木々が閑散として日当たりがよい場所だ。山頂から山麓の団地がわずかに見え、人里に近い山域であることがわかる。
青貝山の山火事跡は、山頂を中心に北西から南東に走る尾根の左半分、広範囲の斜面に広がっていた。筆者が訪れたのは山火事から2週間後であったが、近づくとまだ焼け跡の嫌な臭いが漂っていた。



主に燃えたのは枯葉のようだった。山頂付近は木々が密集していなかったことが、大規模な山火事にならなかった理由の一つかもしれない。しかし根元が燃えたせいで枯れかかっている木も少なくなかった。
なお、今回燃えたのは自然林であり、被害を免れた右半分は杉の人工林である。油分が多い杉の人工林に飛び火していれば、被害は山麓の団地をも巻き込む甚大なものになっていたかもしれない。
■自然の回復の兆し



青貝山の山火事は広範囲に及び、その被害は深刻であった。しかしその一方で、自然の回復力と、山を大切に思う人々の想いに深く感銘を受けた。
筆者が青貝山を訪れたのは、火災からわずか2週間後。それにもかかわらず、すでに焼け跡が目立たない場所や、焦げ臭さや野焼きのような独特の匂いがなくなっている場所もあった。自然の回復力には驚かされる。
また、山火事跡には片付けや整備が施された痕跡が見られた。地元の方々や有志の方々によって、大切にされている山であることがうかがえる。このように、自然の力と人々の手によって、山は回復へと向かうのだろう。今後の更なる回復が期待される。