冬から春にかけてのキャンプで最も注意したいのは「風」! なかでも甘く見てはいけないのが「強風注意報」だ。一見晴天で温暖に思える日でも、不意打ちのような突風が吹く春のはじめの気象。キャンプ場によっては吹き飛ばされるテントがあまりに多いため、「テントの墓場」といわれる場所も。今回は「強風注意報」とその対策、ギア選びなどについてガイドする。
■強風注意報とは?
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強風注意報とは、「強風により災害が発生するおそれがあると予想したとき」に気象庁から発表される予報だ。陸上で風速14m/s以上、または最大瞬間風速が20m/s以上と予想されるときに出される。山地では風速17m/s以上、または最大瞬間風速が25m/s以上と予想されるときが該当する。一般には風速20mを超えると、立ってはいられないといわれ、どんなに準備をしても、テントが吹き飛ばされたり破損する可能性がある。冬から春にかけては月の約1/3が強風注意報という地域もある。
■強風注意報は侮れない!
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2025年1月、筆者は海辺に面した超人気の高規格キャンプ場で、強風注意報に出くわした。天気は晴天、暖かい日だった。到着時にキャンプ場のスタッフより、「本日は強風なのでキャンセルも無料で受け付けています」「夜は焚火ができません」「設営時にペグをしっかり打ってください」と言われたが、そのときはあまりにもよい天気だったため、そのままキャンプすることにした。
ワンポールテントの設営が終わり、ビールを1杯飲んだところで突風が吹きだした。ペグもしっかり打っていたので大丈夫だと思っていたが、それから8時間強風にあおられ続け、テント内にも風が吹き込むようになり、中に置いていたものがぐちゃぐちゃに。さらに、天井に吊るしていたランタンが頭上に落ち、切り傷を負って出血。その直後、本体をペグダウンするために付いている、ループ部の縫製が本体からちぎれ、テントが吹き飛ばされそうになった。
何とか居住スペースを確保するため、やむなく大切なテントにペグ打ち用の穴を開け、応急処置的に地面に固定。ほかにもストレッチフックで補強したり、ガイロープを2倍の本数にしたりして、何とか持ちこたえたが、ちょっとした恐怖体験だった。
■強風時のテント設営ポイント
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筆者が恐怖を味わったような注意報はもちろん、強い風が吹く予報が出されている日は、高原や高台、海など視界の開けた場所は、より風の影響を受けやすい場所であることが多い。不安を感じた場合には管理人にアドバイスを訊くなどして、可能であれば林間サイトなど別のサイトでの設営や、中止も視野に入れて検討しよう。早い段階でテント泊をあきらめ、車中泊やバンガロー泊に変更できるならそちらの方が安全だ。
また、通常は眺望重視で山や谷、湖に出入口を向けて設営しがちなテントだが、風への対策としては、出入口が風下になるように設営するとよい。風の侵入を防ぐために、テントの出入口の前に車を止めるのもおすすめだ。天井に吊るしているランタンなども早めに下におろすようにしよう。
せっかくの景色を目の前にして残念な気もするが、ケガや事故を起こしてしまっては元も子もないのだ。