群馬、新潟、福島、栃木の4県にまたがる国立公園「尾瀬」。行楽シーズンを告げる開山祭は、登山口がある群馬県片品村、福島県檜枝岐村(ひのえまたむら)、新潟県魚沼市の3県が持ち回りで開催しており、2026年は片品村が会場となった。5月26日、今シーズンの幕開けを告げる「第46回 尾瀬山開き」の様子をレポートしていきたい。
■群馬側の尾瀬の玄関口、尾瀬戸倉で安全祈願
式典の会場となった「尾瀬ぷらり館」は、尾瀬ネイチャーセンターや尾瀬戸倉観光協会、日帰り温泉を併設する複合施設。建物のすぐ近くには鳩待峠や大清水に向かうバス停留所があり、まさに群馬側から尾瀬へ向かう玄関口といえる場所だ。
式典では安全祈願の神事が行われ、地元・笠科神社の宮司が、登山者や尾瀬に関わる人々、団体の安全、そして尾瀬の豊かな自然が守られることを祈願した。続いて、環境省や群馬県知事、片品村・檜枝岐村・魚沼市の首長ほか、関係組織や団体が祭壇に玉串をささげた後、お神酒を拝戴。事故のないシーズンとなることを、一同で改めて祈った。
■今季の目標は「来場者20万人」
コロナ禍前には年間約24万7,000人もの人々が訪れていた尾瀬。感染拡大の影響で一時は客足が落ち込んだものの、観光省によると、昨季は17万人まで回復したとのこと。主催者として挨拶に立った片品村長は、「片品村、檜枝岐村、魚沼市の首長たちと、今年度は来場者を20万人にまで増やそうと誓い合った」と力強く語り、新しいシーズンへの意気込みを示した。
式典の終盤には、尾瀬の郷親善大使を務める群馬県出身の歌手・沢田 知佳(さわだ ちか)さんが美しい歌声を披露。オリジナル曲の「尾瀬慕情」や、テレビ番組『じゅん散歩』のエンディングテーマに起用された「生きること」などを歌い上げた。
その後、式典を締めくくる行事として「のぼり初め」が行われた。参加者たちは、御幣(ごへい)を掲げた宮司のあとに続き、片品川に架かる「片品橋」の中央まで歩みを進めて折り返す。活気あるシーズンへの願いをひとつしながら、式典はめでたく幕を閉じた。
■自然を未来へつなぐ「入域料」を実証実験
式典に参加した檜枝岐村の観光協会関係者の中には、「福島から車で来るより、歩いて行こうと尾瀬を縦走して前日入りした」という驚きの強者も。実際に、沼山峠から尾瀬沼、沼尻、尾瀬ヶ原を経て、鳩待峠から片品村へと入ったという。今年は雪解けが早く、「早くも尾瀬はミズバショウが見頃の時期を迎えている」と、現地の最新の様子をうれしそうに語ってくれた。
このミズバショウを皮切りに、ニッコウキスゲ、ワタスゲ、そして秋の草紅葉(くさもみじ)へと、尾瀬の美しい自然が楽しめる本格的な行楽シーズンがはじまる。こうした美しい景色は、木道の整備や徹底した自然保護など、多くの人々による長年の維持管理によって守り継がれてきた宝物。
この貴重な尾瀬の自然を未来の世代へ残していくための取り組みの一環として、群馬県側では今季の8月と9月に、来場者に木道の管理費などの一部を負担してもらう「入域料」の実証実験を行うとのこと。豊かな自然に感謝し、ルールやマナーを守りながら、新シーズンの尾瀬の魅力を存分に満喫したい。