登山やハイキングで記念写真を撮るのにスマホを使う方も多いのではないだろうか。

 実は筆者も活動記録や記念写真にはスマホを多用している。

 もちろん本格的なカメラには撮影機材として劣る面もあるのだが、スマホでの撮影もちょっとしたポイントを押さえればグッとよくなる。

 写真の素人である筆者も今回紹介するポイントを意識して撮影したところ、新たな発見に驚いたことを覚えている。

 今回の記事では筆者がスマホで写真を撮る時に実践しているポイントと、登山やハイキングでのスマホの取り回しについて解説するので、スマホの写真で登山の記録を残したり、記念撮影したりする際の参考にぜひ最後までお読みいただきたい。

■構図を意識する

奥行きを意識して道が画面の奥へ延びるようにした構図

 まず大切なことは構図を意識することだ。

 とはいえ、構図に関してはプロのカメラマンのように凝る必要はないと筆者は思っている。個人的な記録や記念写真なのだから、「何をメインに撮りたいのか」ということを考えていればOKだ。

 写真の構図に関しては人物や物の配置、距離、光の差す方向や余白など、考慮すべき点が多すぎるので、趣味でこだわっているという方以外は深く考えすぎず、簡単なところから実践する方が撮影を楽しめる。

 そのうえで、構図を意識する際のポイントを解説しよう。

●撮影時はグリッド線と水平を表示して構図を意識

グリッド線があると構図を意識しやすい

 まずはスマホのカメラ機能の設定から。

 機種によって差異はあるが、グリッド線や撮影補助ラインという機能をオンにする。すると撮影画面を格子状に縦横に分割するラインが表示されるので、そのマス目やラインを基準にすると構図を意識しやすい。
例えば撮影したいものを中央に配置してしっかり撮る。あるいは登山道にいる人物を撮影して奥行きのある構図にする場合など、ちょっと凝った構図で撮影したい時にも有用だ。

●撮影は目線の高さだけでなく、高い or 低い位置でも撮影してみる

目線よりやや低い位置で撮影
目線よりやや低い位置から撮影された道

 同じ被写体を撮影しても、スマホの位置を変えるだけで写真の印象ががらりと変わる。

 スマホで撮影するメリットは、さっと取り出せ、本格的なカメラよりも軽いので取り回しが楽というところだ。

頭上から撮影
頭上から撮影された道

 目線の高さだけでなく、頭上や足元の低い位置など様々なポジションから撮影を試してみてほしい。普段はなかなか見られないような光景が写真として残せるはずだ。

地面に近い位置で撮影
地面に近い位置から撮影された道

●三脚を利用して一人でも多彩な構図に

人物との対比で岩場の高度感と大きさを伝えやすい

 大きなものや小さなものを撮影する際に対象となるものがあると、その迫力やミニマムなかわいらしさを伝えやすくなる。特に大きなものを「大きい」と写真を見た人に理解してもらうには、比較対象になるものが一緒に写っているとよい。

 同行者に撮影してもらえれば問題は解決するが、いない場合には三脚が活躍する。

 セルフタイマー機能やシャッターリモコンを使った遠隔撮影で登山道にいる自分を背後から撮影したり、岩に登っているところを撮影したりできる。

大木と人物のツーショット
三脚にセットしたスマホで撮影

 また、手持ちでズームすると手ブレも大きくなるので、三脚を使うとピンボケ防止になる。その他にも露光時間を長くした撮影にも有用だ。

●ズームし過ぎは禁物

 そして、ズームに関しては手ブレだけでなく倍率にも注意したい。

 スマホは高倍率での撮影を苦手としている。そのため限界までズームしてしまうとスマホの機種にもよるが、かなり画像が粗くなってしまう。

 理由はスマホがデジタルズームという方式でズームしているためだ。この方式は画像の一部を切り取って拡大するため、どうしても粗くなってしまう。

 そのため、ズームを使った構図での撮影は、使っているスマホで粗くならないズームの倍率をしっかり確認した方が狙った写真を撮りやすい。

 スマホの機種によってカメラの性能は違うので一概にはいえないが、ズームは2倍程度、明るい場所でも5倍までにした方がいいだろう。

遠くに望む富士山をズームせず撮影
2倍ズームで撮影。富士山はまだ小さいが、画面の粗さはない
所有するスマホの最大ズームで撮影。富士山ははっきりしているが画質が悪くなっている