山梨県南都留郡富士河口湖町と南巨摩郡身延町にまたがる本栖湖(もとすこ)は、旧千円札のモデルになった湖として知られている。そんな本栖湖の南にある竜ヶ岳(りゅうがたけ)は、筆者が年に一度は必ず訪れる山だ。

 竜ヶ岳は富士山の山頂から約16kmの位置にあり、さえぎるものがないダイナミックな富士山の景色を楽しむことができる。

 年間を通して富士見登山におすすめの竜ヶ岳ではあるが、これまでに10回以上登ってきた筆者が最も訪れているのが、11月から12月の初冬だ。夏が過ぎ、冠雪し白く染まった富士山が恋しくなる頃に登っている。竜ヶ岳を含む天子山地(てんしさんち)は、1月、2月に入ると降雪があり、山頂付近は凍結するので難易度が上がる。そういった意味でもまだ雪のない11月、12月に訪れるのがおすすめである。

 今回は本栖湖から石仏コースを使い、竜ヶ岳へと登るピストンコースを紹介したい。見晴らしがいい登山道で、行動時間は約4時間15分。日帰りが可能なルートだ。

■本栖湖駐車場からキャンプ場の横を通り、石仏コース登山口へ

石仏コースの登山口

 起点となるのが、本栖湖の湖岸にある駐車場。河口湖方面から国道139号線を走り、本栖の交差点を右折、国道300号線から県道709号線へと走行すると湖岸に沿って駐車場が点在している。平日は満車になることはないが、土日は混みあうため早めの行動がベター。本栖湖は標高約900m地点にあり、11月になると朝晩は冷え込む。歩き出しはしっかりと着込みたい。

 駐車場から本栖湖キャンプ場の脇を通り、石仏コースの登山口を目指す。車道から遊歩道へと入り、森の中を抜けると登山口が見えてくる。

 本栖湖駐車場から登山口までの所要時間は約20分。ここまで歩いてくると体も温まったころなので、ウェアを脱いで体温調節をしよう。

■見晴台までの樹林帯歩き。木々の間から本栖湖を望む

見晴台へと向かう登山道。よく整備されている

 石仏コースの登山口からは登りとなる。道はよく整備されているが、見晴台まで約1時間15分なので序盤から飛ばし過ぎてオーバーペースにならないようにしたい。筆者も富士山を早く見たいあまりにペースを上げすぎ、見晴台に到着する頃には疲れてしまったことがある。富士山は動かずに待っていてくれる。急がずに歩こう。

 見晴台へと向かう登山道では富士山を見ることはできないが、木々の間からは本栖湖を望むことができる。晴れていれば本栖湖の向こうに南アルプスや八ヶ岳も確認できるので、富士山の方向だけなく本栖湖のある北側にも注意を配りたい。

 樹林帯の登山道を進むと、両側に笹が目立つようになってくる。間もなく見晴台に到着だ。

登山道の木々の間から見た本栖湖。さらに向こうには南アルプスや八ヶ岳も確認できる

■見晴台でようやく富士山とご対面!  ここからは見晴らしを楽しみながら山頂へ!

見晴台と、奥に見えるのが竜ヶ岳の山頂方面

 見晴台には東屋が建っており、休憩するのにぴったりな場所だ。ようやくしっかりと富士山と対面できる場所でもあるので、一息ついて富士の絶景を楽しんでから出発しよう。

 見晴台から山頂までは木々が少なくなり、両側は笹原になる。時より笹が登山道を覆っている箇所もあるため、足元に注意しながら進もう。山頂まではずっと見晴らしがいいので、景色を楽しみながら歩くことができる。

 竜ヶ岳は標高1,485m。冬は積雪や凍結もある。防寒対策と合わせて滑り止めも携行すると安心だ。

山頂に向かう途中。振り返ると富士山の麓には樹海が広がっている