2023年も終盤、年末年始の予定を考える人も多いのではないだろうか。山が好きな人は初日の出をどこか山の上で眺めたいという人もいるだろう。そこで本記事では、筆者が何度も初日の出登山でリピートしている「竜ヶ岳」を紹介する。

 竜ヶ岳は山梨県と静岡県の境にある標高1,485mの山で、山梨百名山に選定されている。富士山を間近に眺められ、12月〜1月初旬までは富士山山頂から登る日の出(ダイヤモンド富士)を望めることで知られている。

 富士五湖の一つである「本栖湖(もとすこ)」の南側に位置しており、本栖湖に住んでいた竜が「富士山の溶岩の熱さに耐え切れず逃げた山」、または「富士山の噴火を村人に伝えるために駆け上がった山」というような名前に由来する伝説が残っている。今でも地元の人々は信仰の山として崇めているそうだ。

 今回は2023年の年始に、そんな竜ヶ岳を定番ルートである石仏ルートで登り、ダイヤモンド富士を眺めた様子を写真と共にお伝えする。

■本栖湖から登山開始!

石仏ルートの登山道入口を示す標識(撮影:酒井 天里)
下山時に撮影した登山道から眺める本栖湖(撮影:酒井 天里)

 本栖湖キャンプ場に併設されている「竜ヶ岳登山用駐車場」に車を停めて、歩いて10分程で石仏コースの登山口までやってきた。ここからしばらくは樹林帯の急勾配の道を進んでいくのだが、よく整備されているので安心して歩ける。30分程高度を上げて行くと、本栖湖を上から眺めることができる場所に出た。

登山道途中からは熊笹の先に富士山が望める(撮影:酒井 天里)
伝説の竜を供養した石仏(手前)と東屋(奥)がある中間地点(撮影:酒井 天里)

 さらに進んでいくと両脇に熊笹が生い茂る登山道に変わり、富士山が姿を見せた。そして、中間地点には東屋があるのだが、その側にある「石仏」で伝説の竜が供養されたと言われている。

 ここでも富士山の眺望が素晴らしく、開けているのでお手軽に楽しみたい人はここから初日の出を眺めることをおすすめする。

竜ヶ岳から望む日の出直前の富士山(撮影:酒井 天里)
竜ヶ岳から望むダイヤモンド富士(撮影:酒井 天里)

 石仏から先は九十九折りの急な登山道を進んでいくのだが、凍結している箇所もあるのでチェーンスパイクや軽アイゼンがあると安心だ。

 そして、山頂までもう少しというところまで来たのだが、富士山を見ると日の出が近い。そのため、今回は登山道脇の開けたスペースで日の出を待つことにした。

 5分程待っていると、山頂から太陽が姿を見せた。見るもの全てを魅了する景色とはまさにこのことを言うのだろう。1年の始まりにふさわしいダイヤモンド富士を見ることができて感無量であった。

竜ヶ岳山頂と富士山(撮影:酒井 天里)
竜ヶ岳から望む南アルプス。空に浮かぶ満月と一緒に撮影(撮影:酒井 天里)

 その後、山頂に到着。山頂からは富士山の反対側に南アルプスを望むことができた。混雑を避けるため、ゆっくりと休憩をして、山頂から人がいなくなったタイミングで再び石仏ルートを通って下山した。