ここ数年、真夏の日傘需要もあり、折りたたみ傘が注目されている。そして今、山でも傘を使用するスタイルが広まっている。

■昔から「山で傘使用」は、快適だと考えられていた

 なだらかな山道や広い斜面、林道などを歩いているときにちょっとした雨が降ってきたら…… レインウエアを着用するより、サッと傘をさした方が手軽で快適だ。ただ、「傘の使用はマナー違反ではないのか?」と、疑問に思っている人も少なからず存在するだろう。

 しかし、実は先人たちも「山に傘はアリ」だと気がついていた。今から50年近く前に発行された何冊かの登山ハウツー本でさえ、「意外と便利」といった表現で裏技的に折りたたみ傘の使用を推奨しているのである。

 もっとも、その時代の折りたたみ傘は特にミニマル化されておらず、UVカットの機能もなかった。これに対し、現在はいくつかのアウトドア系ブランドが軽量折りたたみ傘をリリースしており、なかには晴雨兼用タイプもある。

 近年では、「ウルトラライトハイク」というスタイルも注目されている。軽くすることが目的ではなく、快適に楽しむための手段として、(安全性を担保しつつ)軽量性を求める考え方だ。折りたたみ傘使用は、それともマッチしているのだ。

■登山における傘のメリット・デメリット

【メリット】
◯ 小雨のときレインウエアを着ずに済む
◯ そもそも雨水にあたらない
◯ 少なくとも顔周辺が濡れずに済む
◯ 暑さで蒸れることが少ない
◯ 紫外線をブロックするタイプもある
◯ 山小屋やテント周辺でも重宝する
◯ 傘をタウンでも使用できる

【デメリット】
● 視界が悪くなり、片手も塞がる
● 急な斜面や岩場では使えない
● 強風でバランスを崩す可能性あり
● 下半身は濡れることがある
● 装備の数が増える
● 壊れたら無用の長物に
● 傘使用反対派の人もいる

■アウトドアブランドの注目モデル

●エバニュー「UL76gアンブレラ」

定価 5,500円/圧倒的な軽さ・細さ・コンパクトさが自慢。従来品の90gを大幅に下回る超々軽量ながら強度はアップ

●モンベル「ロングテイル トレッキングアンブレラ」

定価7,040円/ '87年から山歩き用の傘を開発するモンベル。背中側の生地を長くすることで濡れにくく、雨中のトレッキングなどに適したモデル

【soto 2022 秋山より再編集】