岐阜県加茂郡川辺町(かわべちょう)は、人口1万人ほどの小さな町だ。この町にある無名の低山が注目され始めたのは2021年秋。山頂から見た川辺町の景色が、アメリカの「グランドキャニオン」の「ホースシューベンド」に似ていることから「岐阜のグランドキャニオン」と題して、登山アプリで紹介されたのがきっかけだ。

 今回は紅葉シーズンにぜひ登りたい「岐阜のグランドキャニオン」で注目の「遠見山(とおみさん)」を紹介する。また、お隣の 「納古山(のこやま)」も山頂からの絶景で人気だ。あわせて紹介する。

■絶景「岐阜のグランドキャニオン」を見渡す「遠見山」

紅葉の上に壁のような山容を見せる「遠見山」

 遠見山は標高272m、地形図では山名も山頂の標高も記載されていない低山だ。しかし、「岐阜のグランドキャニオン」として注目されるようになり、連日多くの登山者で賑わっている。登山口のある町営駐車場は30台ほど駐車できるが、筆者が訪れた土曜日の朝9時ともなるとほぼ満車となっていた。なお、登山口はJR高山本線・下麻生駅から徒歩10分と電車でのアクセスも良好だ。

 登山口のもみじなど、紅葉を楽しみながら登ること約30分。「見晴らし岩」に着くと目の前には「岐阜のグランドキャニオン」の絶景が広がっている。

 グランドキャニオンを彷彿とさせる飛騨川の流れが生んだ独特の地形と、周囲の山々を色とりどりに染める紅葉が本家グランドキャニオンとは一味違った美しい景色を作り上げている。

紅葉や街並みも絵になる「岐阜のグランドキャニオン」

■紅葉と雪化粧のアルプスを望む「納古山」

納古山山頂でマスコットの「のこりん」に会おう!

 納古山(のこやま)は標高633m、「東海の百山」にも選ばれている山だ。

 山頂付近の眺望は抜群で、11月後半には周囲の山々を彩る紅葉と、その向こうに雪化粧をした中央アルプスや御嶽山(おんたけさん)を見渡せる。紅葉シーズンともなると遠見山に負けず劣らず多くの登山者で賑わっている。

 納古山登山道からのコースは「初級コース」「中級コース」「尾根コース」などが整備され、どのコースも山頂までの所要時間は約1時間半。「中級コース」「尾根コース」は途中で険しい岩場を登る必要があるため、登山経験が少ない人は「初級コース」がおすすめだ。 

紅葉の山々の向こうに雪化粧した中央アルプスを望む
雪化粧の御嶽山の雄大な山容