下界でようやく木々が色づき始めるころ、標高の高い山々では冬が訪れ、標高の高い山々では雪山登山シーズンとなる。
夏が終わり、日中でも快適に過ごせるようになってくると「低山登山」がおもしろくなってくる。快適な気候の中歩くことができ、紅葉がまだ残る山を楽める。
今回は山頂から少し変わった景色の見える山を紹介したい。山にいるのに「海」を感じられるような場所だ。
■日向山(ひなたやま・標高1,660m)
日向山は、山梨県北杜市にある標高1,660mの山だ。南アルプスの北部に位置し、山梨百名山や甲州百山などにも選ばれている。
筆者が訪れたのは2023年11月初旬だったが、山中にはまだ紅葉が残り、色づく木々を楽しみながら歩くことができた。
紹介するのは矢立石登山口からのピストンコースで、所要時間は往復で約3時間のルートだ。
■紅葉が残る樹林帯を抜けて三角点へ
日向山へと向かう起点となる矢立石登山口付近には、林道の路肩に駐車スペースがあるが大きくない。朝7時に訪れたときには、全体のおよそ半分のスペースが埋まっていた。
満車の場合には尾白川渓谷駐車場を利用するのがおすすめ。ただし、その際は所要時間が往復で約2時間増えるため、早朝に到着するのがベターだ。秋は特に日照時間が短くなるので気をつけたい。
登山口からスタートし、色づいた紅葉が残る樹林帯を歩き標高を上げていく。所々に絨毯のように落ち葉が降り積もり、滑りやすい箇所があるため注意したい。
普段なら単調な樹林帯歩きだが、木々を見上げて色づく紅葉を楽しみつつ、落ち葉の吹き溜まりに注意しながら歩く必要もあり、思いのほか忙しい。紅葉する樹々の向こうには富士山が見える。日向山の山頂から富士山は西側に面しており、方角的に眺めることができないため、紅葉と富士山は道中から楽しんでほしい。