季節がめぐり、秋の雰囲気を感じられる日も増えてきた。夏の間続いた猛暑が徐々におさまり、涼しくなった今こそ、絶好のアウトドアシーズンと言えるだろう。
今回は、2023年の9月中旬に長野県の美ヶ原(うつくしがはら)高原で、「山本小屋ふる里館」から「王ヶ鼻(おうがはな)・標高2,008m」までを歩く、往復3時間ほどの美ヶ原パノラマコースを楽しんだ様子と、コースの途中に位置する百名山「王ヶ頭(おうがとう)・標高2,034m」の山頂に建つ「王ヶ頭ホテル」の開放感抜群な日帰り入浴を紹介する。
■今が雲海シーズン! 美ヶ原高原とは?
美ヶ原高原は長野県の松本市、上田市、長和町にまたがる日本一広い高原台地で、「八ヶ岳中信高原国定公園」の北端に位置している。
北アルプスの展望台として知られ、トレッキングやハイキングを楽しめ、高原内を通る観光道路「ビーナスライン」を車やバイクで走るために日本全国から多くの人が訪れる人気観光地だ。
特に雲海が発生しやすい9月〜11月にかけてのシーズンがおすすめで、タイミングがよければ、眼下に広がる雲海と浮かび上がる北アルプスや富士山の山々を望むことができる。
雲海は風があまりない日の夜明け前から早朝にかけてがチャンス。天気予報を確認して、狙って行くとよいだろう。
■牧場の中をゆっくりと歩いていける「美ヶ原パノラマコース」
山本小屋ふる里館を出発し、20分ほどの場所にある「美ヶ原高原ホテル山本小屋」の脇を通りすぎると、両サイドに広大な牧場風景が現れる。
美ヶ原パノラマコースは、美ヶ原牧場の中につくられた遊歩道のため、放牧された牛を間近に見られるのも魅力だ。しばらくは平坦で歩きやすい道が続くので、ゆっくりと歩いていこう。
そして、さらに10分ほどで美ヶ原のシンボル的なモニュメントである「美しの塔」に到着だ。この塔は濃霧になることが多い美ヶ原で遭難者を減らす目的で建てられたもので、霧が濃くなると霧鐘(むしょう)を鳴らして位置を知らせる役割がある。
美しの塔から40分ほど歩いていくと、美ヶ原高原の最高峰、王ヶ頭に到着する。山頂には王ヶ頭ホテルと、長野県全域に各種の電波を送るための電波塔が建っている。少し遠くから眺めると、その存在感は凄まじく、牧場の中にあると異質に感じるほどだ。
王ヶ頭から王ヶ鼻は20分ほどの距離だが、この区間は少々本格的なトレッキングコースとなっているため、足元に気をつけて慎重に歩いていこう。
せりだした岩の上から北アルプス、中央アルプス、南アルプスなどが一望でき、最高に気持ちがよい場所だ。日本の名山の多くが綺麗に見えるため、目に見える山の名前を同定して過ごすのも楽しいかもしれない。
【山本小屋ふる里館から王ヶ鼻往復コース】所要時間
山本小屋ふる里館(0:00) → 美ヶ原高原ホテル山本小屋 (0:20) → 美しの塔(0:30)→王ヶ頭 (1:10) →王ヶ鼻(1:30)→王ヶ頭(1:50)→美しの塔(2:30)→美ヶ原高原ホテル山本小屋(2:40)→山本小屋ふる里館(3:00)
歩行距離:約8.2㎞
累積標高差:登り 200m、下り 200m
合計所要時間:3時間00分