「登山」と言えば、時間をかけて登り、たどり着いた山頂に絶景が広がっているのがセオリーだが、今回は登らないで絶景が楽しめる「美ヶ原(うつくしがはら)」のハイキングルートを紹介したい。
■日本百名山 美ヶ原(うつくしがはら・標高2,034m) 長野県
美ヶ原は長野県の松本市、上田市、長和町(ながわまち)にまたがる高原で、最高地点は標高2,034mの王ヶ頭(おうがとう)だ。日本百名山に選定されており、美ヶ原からは41座もの百名山を見ることができ、絶景が広がる。美ヶ原の王ヶ頭にある「王ヶ頭ホテル」と「美しの塔」は、美ヶ原のシンボルになっている。
■広大な台地をのんびりハイキング
今回は山本小屋登山口から美ヶ原牧場を通り、王ヶ頭、王ヶ鼻(おうがはな)、烏帽子岩(えぼしいわ)と展望地をめぐる周回コースだ。距離は9.3kmほどだが、起伏は緩やかで、3時間15分ほどで周回できる。
美ヶ原は東西南北に登山道が延びているが、筆者は山本小屋登山口からのスタートをおすすめしたい。歩き始めから広大な草原が広がり、草原の先には美ヶ原のシンボルでもある「美しの塔」と「王ヶ頭ホテル」を望むことができるからだ。
王ヶ頭まで向かう道は起伏もほとんどなく、歩きやすい。標高2,000m付近であることから、朝晩は冷え込む。防寒着はしっかりと持って出かけたい。
■最高地点・王ヶ頭
登山口から王ヶ頭ホテルまでは1時間10分ほど。整備された起伏の緩やかな道なので歩きやすく、途中には「美しの塔」があり、草原の向こうに広がる北アルプスの山々を眺めながら歩いていると、あっという間に到着する。
美ヶ原の最高地点である王ヶ頭からは南アルプスや中央アルプス、富士山や八ヶ岳などの展望が広がり、圧倒的な景色を楽しむことができる。こんなに簡単に絶景を見ることができていいのかと思ってしまったほどだ。
美ヶ原シンボル、王ヶ頭ホテルの周辺にはいくつものアンテナ塔が建っており、広大な草原の中にあるホテルとアンテナ塔の組み合わせは、不自然でありながらも魅力的な景色に感じた。
王ヶ頭ホテルから25分ほどでもうひとつの展望地、「王ヶ鼻(おうがはな)」に到着する。
■北アルプスを一望できる展望地・王ヶ鼻
王ヶ頭からの景色は絶景であったが、王ヶ鼻からの大パノラマもまたすごい。王ヶ鼻からは麓に広がる松本市街、その奥には北アルプスを一望できる。
標高こそ2,008mと王ヶ頭よりも低い王ヶ鼻だが、南は乗鞍岳(のりくらだけ)から北は白馬岳(しろうまだけ)まで望め、ファインダーに全て収められないほどの光景に筆者もつい見とれてしまった。
王ヶ鼻へは王ヶ頭ホテルに宿泊している人たちでも賑わう展望地だが、早い時間帯に行くことで絶景を独り占めできる。