夏の暑さが過ぎ去り秋が深まると、快適な登山シーズンの到来だ。紅葉が次々と見ごろを迎え、登山を楽しみにしている方も多いのではないだろうか。

 登山のしやすい季節なのでつい気を緩めてしまいがちだが、秋は夏の暑さと冬の寒さが入り混じる季節だ。夏と冬の危険性を両方兼ね備えている。

 この記事では、秋だからこそ気をつけてほしいポイントや、備えたほうがよいアイテムを紹介する。筆者が登山を始めたばかりの頃に陥った危険や、困った体験談も伝えたい。

■日照時間が短い

日照時間の短い秋の登山のお守りアイテム(ヘッドライトとエマージェンシーシート)

 夏とは違って、秋は日照時間が短くなる点に注意したい。日が落ちると、灯りのない山では真っ暗で何も見えなくなる。手探りで動くのも怖いほどだ。

 筆者の登山での失敗体験だが、その日は明るいうちに下山する予定だったので、荷物を少しでも軽くするため、ヘッドライトを携帯しなかった。

 しかし予定より遅くなり、日が傾きはじめ薄暗くなると不安で焦りを感じた。下山を急いだせいで何度か滑って転びそうになった。

 ヘッドライトを置いてきてしまったのを心から後悔した。下山を諦めてその場で夜を明かすことになれば、命の危険に及ぶ可能性も出てくる。

■天候が崩れやすく、寒暖差が激しい

左からチェーンスパイク・ネックウォーマー・薄手のダウンベスト・ニット帽・手袋・レッグウォーマー

 秋の山は寒暖差が激しく、熱中症が心配なほど暑い日もあれば、低体温症に気をつけなければならない寒い日もある。

 暖かい秋の日に、2,500m超えの山に登ったときのことだ。思った以上に寒く、レインウェアだけではしのげず、登山を断念するところだった。結局、仲間たちにフリースジャケットとニット帽を借りて登りきった。

 気温が下がると、山の上は想像以上に寒い。風が強いとなおさらだ。ほかにもネックウォーマーや手袋なども防寒に役立つ。

 また、例年にはない早い初雪や凍結に遭遇することもあるので、本格的な秋が到来したらチェーンスパイクを持参するのもおすすめだ。