■釣り場の危険生物

釣り場にはたくさんの危険生物がいる。もしトゲが刺さったり噛まれたり、被害に遭ったらすぐに病院へ。ここではまずは被害に遭わないための方法を紹介する。

●知らずに踏むと危険!  砂底に潜む「アカエイ」

エイは浅瀬にもいる危険生物だ

 北海道以南の日本沿岸に生息するアカエイ。普段は河口や砂浜の底に浅く潜っているため、姿はあまり見られないが、気づかずに踏んでしまうと、尾にある鋭いトゲで刺されてしまう。アカエイに刺されると、激痛が走る。心拍数の上昇や発熱、最悪の場合は死に至ることもある。

対処法1.  近づかない

 当たり前のようだが、意外と難しい。特に干潟や遠浅の海では腰まで浸かって釣りをすることがあるが、膝下の水深にもエイはいることが多い。アカエイの尾はウェーダー(胴長靴)を着用していても貫通して刺さるので、よく行く海にアカエイが多いかどうか、近所の釣具店で情報収集をする。また海に入らずに満潮時に絞って、波打ち際から釣りをするといった方法で被害を回避できる。

対処法2.  ウェーディングスタッフを使う

自作のスタッフでも十分に役割を果たす

 エイは臆病なので、踏みつけられたりしない限り人を攻撃することはない。また、触れられるとその場で飛び上がったり、尾を振り回したりするのでウェーディングスタッフで足の踏み場を先につつきながら、エイがいないか探りながら進むことで遭遇を避けることができる。

 釣具メーカーから出ている専用品はどれも高価なので、筆者は穂先が折れた釣り竿の根元側をトレッキングポールのようにして使っている。自作のスタッフにカラビナを結束バンドで巻き付けて、ベストのD管にぶら下げ、紛失を防いでいる。

対処法3.  電気式エイガードを使用する

電気式のエイガードも効果的
筆者はそのまま垂らしているが、押さえたほうが良いかもしれない

 電気式のエイガードは、エイが嫌がる微弱の電流を海中に流してエイを近づけさせない道具だ。充電式で、コードから伸びた2つの端子が海水につかると通電し微弱の電気を流す。

 筆者はウェーダーの腰ベルトの内側に挟んで垂らしている。端子のぶらつきが気になる人は、ベルクロなどで押さえてもよいだろう。これを装着しているとエイが離れていくとされることから、筆者も念のために装着している。

 電気式エイガードはメーカー品ではなく、開発者の個人販売である。「アクティブエイガード」と検索すると、オークションサイトで購入できる。エイのトゲから身を守るためのプロテクターや、ウェーダーのなかに履くソックスタイプのエイガードもあるが、それらは刺されたときの被害を最小限にするものなので、ここでは割愛する。

●【動画】アクティブエイガード実験動画

 

●浜辺にガラス細工!?  触れると激痛が走る「カツオノエボシ」

絶対に触れてはいけないカツオノエボシ

 青く透き通った体に長い触手が特徴のクラゲの仲間である。カツオノエボシ自体に遊泳力が無いので、波に浮遊して浜辺に漂着してしまう。主に太平洋側の浜辺に漂着するようだが、近年は日本海側でも見られるようになった。

 外部から刺激を与えると刺胞という微小な毒針を発射する。刺されると、しびれや痛みだけでなく心拍数の上昇等の症状が出る。また二度刺されてしまうと、アナフィラキシーショックで死に至ることもあることから、一度たりとも刺されたくないものだ。

●対処法 近づかない・触れない

 浜辺に打ちあがったカツオノエボシは遊泳力もないし、仮に触手を使い動いたとしても数cmほどだろう。こちらが触れない限りは毒針を発射することがないので、触れなければ刺されることはない。近年、海水浴客が被害に遭う報道が多いが、その原因は「綺麗なので気になって触れてしまった」という理由が一番多い。

 カツオノエボシの形や色を覚えておき、海に行った際には触れないでもらいたい。当然、素足で浜辺を走り回ることも言語道断だ。

■まとめ

 上記のように、夏の釣り場には意外にも危険が多いのだ。ここで紹介した以外にも、渓流釣り場では、クマやマムシの目撃情報も多い。マムシを見たら近づかなければいいし、クマは目撃情報が多発している地域に行かないなどの対策が必要だ。これからの季節も、釣りをぜひ安全に楽しんでもらいたい。