夏も本番を迎え、今年も例外なく猛暑日が各地で観測されている。そんな夏の最盛期にもなると渓流釣りのシーズンは終盤にさしかかる(一般的に解禁期間は3月から9月末)。
岩魚(イワナ)や山女(ヤマメ)などの渓流魚は水温が低い場所を好み、清流に棲んでいる。里川では気温と水温が高くなりすぎると渓流魚は深い場所に身を隠し、釣れにくくなってしまう。筆者もシーズンを通して渓流釣りを楽しんでいるが、夏以降は苦戦することが多い。
そのため筆者は気温が上がるのと同時に標高の高いフィールドへと釣りに行っている。今回は「源流域」と呼ばれる山奥の川へ釣りに行ってきた様子を紹介したい。
■奥秩父・標高1,500mを超える源流域の小さな川で
夏でも水温が低く、イワナたちが元気に過ごしている場所に行くため、筆者は奥秩父の山奥へと向かった。
高速道路を降りて一般道を走ること数時間、やってきたのは標高が1,500mを超える場所で、気温は15℃とかなりひんやりと感じた。釣果への期待が膨らむ。
源流域は川幅が狭く、川の両サイドに樹々が生い茂り、竿をうまく振ることができない。狙えるポイントは限られるが、そんな場所こそ、天然イワナの棲家になっていることがある。そんな期待を胸に釣り場へと向かうために準備を急ぐ。
■釣り人の朝は早い!「朝マズメ」を狙って、夜明けから行動開始
釣り用語では、日の出前後の時間帯を「朝マズメ」と呼ぶ。
魚たちは、明るくなると水面付近を流れてくる水生昆虫や陸生昆虫といったエサとなる流下物を待つようになる。つまりエサを待っている「活性」の高い状態となる。
さらに朝一番なら先行者(ほかの釣り人)がいないため、魚は警戒心の低い状態である。日中の渓流魚は鳥などから身を守るため警戒心が非常に高く、人の姿や影を見たとたん素早く岩陰に隠れてしまう。一度警戒した渓流魚はしばらく身を隠し出てこないのだ。
よって、夏の朝マヅメは渓流魚の活動しやすい時間帯で、警戒心も低い状態、お腹もぺこぺこで、いわば最も釣れる可能性の高いタイミングなのだ。