■早朝の露天風呂を堪能して、いざ山頂へ
2日目の早朝、日の出のタイミングで雲上の湯へ。湯はテント場から10分ほど登山道を歩き、看板の案内に従って沢に降りて行った場所にある。
浴槽は大人4人が入れるくらいの広さだ。周りには脱衣所などはないため、服を脱ぐのには少々勇気がいるが、タイミングを見計らって一気に脱いでしまうのがいいだろう。水着での入浴も可能だ。
筆者が訪れた時は、先客が1名いたが入れ替わりだったため、貸し切り状態となった。朝の澄み切った空気の中、朝日に照らされる硫黄岳の絶景を見ながら湯に浸かるのは最高の贅沢だ。泉質は苔桃の湯同様に硫酸塩泉だが、こちらは白濁色をしており、硫黄の匂いをより強く感じた。
注意点として覚えておきたいのが、温泉に浸かった後でほかに人がいなければ、湯船に木の蓋をしてから立ち去るのがここでのマナーだ。
その後はテントを撤収して、根石岳(ねいしだけ)・標高2,603mに登った後、来た道を戻り下山した。
根石岳へは本沢温泉から途中「夏沢峠(なつざわとうげ)」を経由して、2時間ほど進むと山頂に到着する。道中は木漏れ日が差し込む針葉樹の森と足元に広がる苔の景観が広がり、これぞ八ヶ岳といった感じだ。
根石岳の北には東西二峰からなる天狗岳(西天狗)・標高2,646m、南には硫黄岳・標高2,760mが位置しており、山頂からは八ヶ岳連峰の山々、遠くに北アルプスの絶景が広がる。また、高原植物の女王コマクサの群生地としても知られている。
●【MAP】根石岳
■歩いて行くからこそ価値がある本沢温泉
徒歩でしか行けない秘湯・本沢温泉までの道程は簡単なものではない。山道を長い時間歩くため、登山靴や速乾性に優れたTシャツなどの登山装備が必須である。しかし、歩いて行くからこそ味わえる達成感があり、疲れた身体に温泉が染みるというものだ。
また、夏場は連日酷暑が続くような時も珍しくない。そんな時に温泉に浸かって温まりたいという気分にはなかなかならないかもしれないが、本沢温泉であれば標高2,000m以上あるため、涼しく快適に温泉を楽しめる。ぜひ今年の夏に訪れてみてはいかがだろうか。
●【MAP】八ヶ岳 本沢温泉
【温泉&登山ルート】
本沢温泉入口→車止めゲート(1時間)→本沢温泉(1時間30分)→根石岳(2時間)→本沢温泉(1時間20分)→車止めゲート(1時間20分)→本沢温泉入口(約50分)