■泉水沼付近に凛と咲くチングルマやイワカガミ

チングルマ(左)と イワカガミ(右)(撮影:川村亨)

 山頂部の外側を周るため、泉水沼(せんすいぬま)方面へと進む。坂を下っていくと、登山道脇にチングルマやイワカガミが咲いていた。上りでは見かけなかったので、場所によって植生が変わるのが面白いところである。

ハクサンシャクナゲ(撮影:川村亨)

  泉水沼を過ぎ、姥石平(うばいしだいら)分岐を東焼石岳(ひがしやけいしだけ)方面へと進む。本来ならこのあたりはハクサンイチゲが一面に咲き誇るのだが、開花時期を過ぎてしまったようでほとんど咲いていない。東焼石岳への分岐を過ぎ、東成瀬コースへ戻るポイントまで歩いていく。道中にはハクサンシャクナゲの花が咲いており、ピンクがかった白い花が登山道を彩っていた。東成瀬コースへ合流し、往路を戻り登山口へと下山した。

■東成瀬コース利用時の注意点3つ

 焼石岳への登山ルートは5つあるが、どのコースも片道3時間半以上かかる中級者向けコースである。今回利用した東成瀬コースについて、下記に注意点をまとめる。

●沢を渡る道がある

東成瀬コースの徒渉ポイント(撮影:川村亨)

 東成瀬コースの道中には、沢を渡る徒渉ポイントが3か所ある。岩の上を伝って歩くので、足を滑らせないよう注意しよう。また靴が濡れてしまう可能性があるので、防水の登山靴が好ましい。さらに、雨による増水時には沢を渡れないこともあるので、事前の情報収集も重要である。

●段差の大きい岩場がある

 東成瀬コースから登る山頂前には、大きい岩がゴロゴロしている岩場がある。段差が大きい場所もあるので、ふらついて落ちないように気をつけよう。

●登山口~山頂間にトイレがない

 登山口前の焼石林道に入ってすぐの場所にトイレが設置されている。しかし、登山口から山頂までの間にはトイレがない。往復の歩行時間が約8時間と長丁場になるので、携帯トイレを持参しておくとよいだろう。

 なお、登山口へ続く焼石林道は道幅が狭く、地面がデコボコしている。車幅のある大きい車や車高の低い車でのアクセスはおすすめできない。 

■百花繚乱の焼石岳でフラワートレッキングを楽しもう

 焼石岳はさまざまな高山植物が咲き誇る花の山だ。初夏に東成瀬コースから登ると、焼石沼付近でミヤマキンポウゲの花畑が堪能できる。時期によってはハクサンイチゲやヒオウギアヤメなど、ほかの高山植物の花畑が見られるポイントもある。見たい高山植物の開花時期に合わせて訪れ、フラワートレッキングをぜひ楽しんでほしい。

 

●【MAP】焼石岳

東成瀬コース(1):東成瀬3合目登山口~焼石沼(国土地理院地図より引用)
東成瀬コース(2):焼石沼~焼石岳(国土地理院地図より引用)