■新紙幣の印刷工場も! 渋沢栄一関連施設をぐるりとめぐる
渋沢史料館付近には、飛鳥山公園の南へ出られる下り坂がある。公園の外へ出たら、南東(渋沢史料館を背に左方向)へ緩やかな上り坂を歩いて行くと、「国立印刷局東京工場」が見えてくる。
国立印刷局東京工場(近代化産業遺産)では、日本銀行券、お札を印刷している。今まさに新紙幣が作られている建物だ。渋沢栄一は国立印刷局の前組織(旧大蔵省紙幣寮)のトップ(紙幣頭)でもあった。つまり、新紙幣と渋沢栄一、双方の聖地と呼べるスポットなのだ。
なお、内部には見学できる施設が設けられており、事前に予約をすれば見学できる。
●施設名 国立印刷局 東京工場
住所 〒114-0024 東京都北区西ケ原2丁目3−15
電話 03-5567-1102
ホームページURL 国立印刷局東京工場
※営業日時はホームページよりご確認ください
国立印刷局東京工場から再び渋沢史料館方面に引き返すと、道路の真ん中に「西ヶ原一里塚」が見えてくる。渋沢栄一は、西ヶ原の住人として一里塚の保存に尽力しており、ここもまたゆかりの場所となる。
●施設名 西ヶ原一里塚
住所 〒114-0024 東京都北区西ケ原2丁目4−2
電話 03-3916-1133(飛鳥山博物館事業係)
ホームページURL 西ヶ原一里塚
※営業日時はホームページよりご確認ください
■渋沢栄一ゆかりの地「滝野川の赤レンガ工場」
緩やかな下り坂を、滝野川方面へ歩いて行こう。ここまで、ゆっくりめぐって1時間強といったところだろうか。明治通りの信号を渡って滝野川に入り、しばらく北へ歩くと、赤レンガ造りの独特な建物が現れる。
「旧醸造試験所第一工場」は、旧大蔵省醸造試験所の清酒醸造試験工場として建設され、国指定の重要文化財だ。通称は「赤煉瓦酒造工場」といい、その呼び名にふさわしい外観になっている。そして、この建物には、渋沢栄一が設立した日本煉瓦製造会社のレンガが使われているのだ。
建物内部の見学には1か月以上前までの予約が必要で所定の観覧料がかかるが、敷地内に入って建物の外観を見るだけなら、無料で見学可能だ。
隣の跡地公園には赤煉瓦酒造工場を模して作られた公衆トイレと、同じく赤レンガ風にプリントされた自販機があるので、トイレついでの休憩もありだろう。
●施設名 旧醸造試験所第一工場(赤煉瓦酒造工場)
住所 〒114-0023 東京都北区滝野川2丁目45−9
電話 03-3916-1133(教育委員会事務局教育振興部飛鳥山博物館)
ホームページURL 赤煉瓦酒造工場
※営業日時はホームページよりご確認ください
■最後は音無親水公園へ
赤煉瓦酒造工場から北へ進むと、いよいよ最後のスポット「音無親水公園」に辿り着く。公園に行くには橋の上から降りる必要があり、その際に使用する螺旋状の階段は趣がある。
音無親水公園は、もともと石神井川の旧流路(通称:音無川)が周囲の台地を削って自然にできた渓谷であった場所。王子神社(王子権現)と飛鳥山に挟まれ、昔は両側が隔てられ、交通の妨げとなっていた。そこで両側をつなげる巨大な橋(音無橋)を架ける計画が立ち上がり、北区の発展に寄与する活動をしていた渋沢栄一がこの橋の建設・開通を支援した。
今では、橋の下にある音無川の大部分が整備され、春は桜が咲き誇りライトアップもされる景勝地として公園化され、人々の生活道路も兼ね賑わいを見せている。ちょうど橋の下あたりには、渋沢栄一の関連グッズを販売する「渋沢逸品館」もオープンしている。川沿いをそのまま歩けば駅に辿り着くので、ゴールをこことした。
余力があれば、王子神社に寄り道するのもいいだろう。ただし、音無親水公園から王子神社までは急な階段を上らなければならないため、最後の気合をこめて石段を踏みしめよう。
●施設名 音無親水公園
住所 〒114-0022 東京都北区王子本町1丁目1
電話 03-5980-9210(飛鳥山公園管理事務所)
ホームページURL 音無親水公園
※営業日時はホームページよりご確認ください
●施設名 王子神社(王子権現)
住所 〒114-0022 東京都北区王子本町1丁目1−12
電話 03-3907-7808
・ホームページURL 王子神社
※営業日時はホームページよりご確認ください
■飛鳥山から音無渓谷まで、盛り沢山の渋沢ハイキングを楽しもう
今回は王子駅周辺の渋沢栄一ゆかりの地をめぐる、街歩きコースをなぞって紹介してみた。
筆者が実際に歩いてみた印象では、早めに回って1時間、ゆっくり歩いて2時間半といったところ。このコースでは、山と渓谷の両方を、舗装路から石畳までバラエティに富んだ地面を踏みしめながらちょっとしたハイキングを楽しめる。筆者がめぐったのは7月初旬で既に暑かったので、こまめな水分補給を忘れずに。
新紙幣の発行が始まり、徐々に実際にお札を手にする人も多くなるだろう。財布の中に新紙幣を忍ばせて、「お札が生まれる街 王子」を散策してみてはいかがだろうか。
※この記事の情報は2024年7月現在のものです。内容が変更される場合もありますので、最新の情報はリンク先のHPでご確認ください。