■ミステリーランチの出番がくるのに15年かかった
2010年頃がULパックにとっての転換期だと土屋さんは話していますが、そこから15年近く経った今になって、ミステリーランチが長距離ハイキング向きの軽量なバックパックを手掛けたのはなぜでしょうか。
「当時は、まだULというムーブメントは存在しても、実際にそうした道具を使って歩いているハイカーはごく僅かだった。自分がアメリカに行っても、そうしたスタイルのハイカーに会うことは稀でした」
つまり、一般的なハイカーにも「ウルトラライト」や「軽量化」といった考え方が浸透し始め、“軽量だけど背負い心地や使い勝手も良いバックパックが欲しい”というニーズが高まり、ミステリーランチのようなマスプロの出番がやってくるのに、15年近くの年月がかかったということです。ちなみに、日本にULの魅力を広めるのに大きな役割を果たす、土屋さんのお店がオープンしたのは、2008年のことでした。
じつは、2010年頃にミステリーランチが手がけた「トランストリプルエックス」という異端児的ULバックパックが存在したこと(現在は廃盤)、当時のUL界のリアルなニーズや空気感、ウルトラライトとロングディスタンスハイキングの違いなど、まだまだ話は尽きません。
2時間以上に渡る2人の長大な話は、現在動画にて公開中。ウルトラライトの世界におけるバックパックの変遷や、メーカーがどのようなアプローチで新たなバックパックを開発しているのかなど、より深く、貴重な話をぜひチェックしてみましょう。