■見上げるように望む外輪山は異国のよう!

Jバンドの岩場を下り切ったところから望む外輪山

 「Jバンド」と呼ばれる岩場を下りきると、湯ノ平(ゆのたいら)分岐までは起伏の穏やかな歩きやすい区間となる。

 外輪山から浅間山の麓に下りると、思った以上に大地が広く感じ、連なる外輪山の風景は異国のようだった。外輪山と浅間山を下から見上げる景色は、外輪山を歩いていた時とはまた雰囲気が違って楽しめる。

 平坦な道をしばらく歩くと、賽の河原分岐(さいのかわらぶんき)がある。浅間山は現在、火山警戒レベル2のため、入山が規制されており、賽の河原分岐点から前掛山方面へは立ち入り禁止エリア。湯ノ平分岐まで来ると、そこからトーミの頭までは急登を一気に登る区間だ。

湯ノ平分岐から望むトーミの頭

■高山植物のおかげで急登も楽しめる

急斜面に群生する「ハクサンコザクラ」

 湯ノ平分岐からトーミの頭までは約1時間20分で、つづら折りになった急登が続く。登り始めた時はキツい区間になることを予想した筆者だったが、登山道付近は高山植物が見頃を迎えており、楽しみながら登ることができた。

 トーミの頭からは中コースを使い、車坂峠まで下山する。表コースと違い、眺望はないが、カラマツの群生や森に広がる苔などを楽しみながら歩ける。1時間5分ほどで車坂峠まで戻ってくることができる。所要時間は約6時間15分。途中、水場はないので十分な水分を持って行動したい。

〈登山ルート〉
車坂峠⇒(1時間15分)⇒槍ヶ鞘⇒(10分)⇒トーミの頭⇒(25分)⇒黒斑山⇒(25分)⇒蛇骨岳⇒(15分)⇒仙人岳⇒(30分)⇒鋸岳⇒(33分)⇒賽の河原⇒(20分)⇒湯ノ平分岐⇒(1時間20分)⇒トーミの頭⇒(1時間5分)⇒車坂峠

■浅間山は火山! 出かける前には必ず最新の情報をチェック!

 冒頭でもお伝えした通り、浅間山は2024年7月時点で「噴火警戒レベル2」の火山である。今回紹介したルートは、火口から半径2km以内(噴火に伴う大きな噴石や火砕流に警戒する範囲)のエリアを歩くため、でかける前には気象庁の最新情報をチェックしてから出発してほしい。

 浅間山の雄大さも魅力だが、外輪山の風景もまたダイナミック。高山植物も多く、見どころの多い浅間山外輪山へと出かけてみてはどうだろうか。 

 

●【MAP】車坂峠