■初心者にはルアーを浮かべておくだけの「ホットケ」釣法がおすすめ
ワカサギパターンの釣りではワカサギに似せたルアーを使用すると先述したが、狙いの大型トラウトを振り向かせるためにはこれだけでは不十分な場合もある。ルアーの見た目だけでなく、動き(アクション)についても本物のワカサギを真似ることがとても大事。しかし、これが釣り熟練者でもなかなか難しい。
ワカサギの接岸が始まった当初は、トラウトは疑うことなくルアーを口にするため、本物のワカサギだと思い込ませるのは比較的簡単である。
だがワカサギの接岸がピークを迎える5月頃には、多くのアングラーがワカサギを模したルアーを使用するため、トラウトの目が肥えてくる。ルアーが少しでも変な動きを見せようものなら、すぐに偽物だと見破られてしまう。
筆者のこれまでの経験では、こういったシビアな状況の時ほど、ルアーには一切アクションを加えない方がよい結果に結びつくことが多い。ルアーにはアクションを加えずにただ放っておくだけなので、通称「ホットケ」釣法と呼ばれている。産卵を繰り返して体力を失ったワカサギが瀕死の状態で湖面を漂っている様子を演出しているので、使用するルアーは水面に浮くタイプのトップウォーター系が適している。
岸沿いを回遊するトラウトたちの通り道であるブレイクライン(水深が急に深くなる場所)上にこのルアーをキャストしたら、その後はルアーをただ水面に浮かべておくだけ。これなら中禅寺湖の釣りが初めてという初心者でも簡単に始めることができる。
ただし、釣り方はとても簡単だが、とても忍耐力が必要な釣りだということは覚えておいた方がいいだろう。ルアーをただ浮かべておくだけなので、魚の反応がなければ、時には何時間もルアーを眺めて過ごさなければならない。
しかし、その忍耐の先には必ず素晴らしいご褒美が待っていると信じてこの釣りを最後までやり通してもらいたい。水面に浮かべていたルアーが突如、大きな水飛沫とともに水中に消える(トラウトに食われて水中に引き込まれる)様は迫力満点である。この光景を一度目にしてしまうと「ホットケ」の釣りの虜になること間違いなしである。ぜひ味わっていただきたい。
【タックル】(ホットケ釣法用)
・ロッド:トラウト用のスピニングロッド 7~8フィート
・リール:スピニングリール 2500番
・ライン:PEライン 0.8~1.0号
・リーダー:フロロカーボンライン 10~12ポンド
・スイベル:小型のスイベル
・ルアー:ワカサギを模したトップウォータープラグ(7~9cm)
■今が旬のワカサギパターンの釣りを楽しもう
鱒釣りの聖地である中禅寺湖で昔から楽しまれている春のワカサギパターン(ホットケ)の釣りについて紹介させていただいたが興味をもっていただけただろうか?
この時期のトラウトたちは水際で産卵を繰り返すワカサギを食べようと絶えず狙っている。岸から数メートルといった至近距離に身を潜めていることも多いため、水際へ近づく際には細心の注意を払うべきである。
できるかぎり水の中には入らずに陸上から静かに釣りすることを心掛けてもらいたい。とても些細なことのように感じるかもしれないが、釣果を得るにはこれがとても大事なことなのである。
今シーズン、中禅寺湖のワカサギパターンの釣りにぜひチャレンジしてもらいたい。
【管轄漁協】中禅寺湖漁業協同組合 http://www.chuzenjiko.or.jp