春になり暖かくなってきたので、兵庫県三田(さんだ)市の「有馬富士」(標高374m)に登ってきた。

 今回のお供は、我が家の猫。あえて一番人気のない「有馬富士公園休養ゾーン」ルートからのんびりと、気ままな猫のペースに合わせて山歩きを楽しんだ。

■「有馬富士公園休養ゾーン」ルートは、なぜ人気がない?

「有馬富士公園休養ゾーン」入口
「有馬富士公園休養ゾーン」の広い芝生

 「兵庫県立有馬富士公園」は兵庫県最大の都市公園。有馬富士を中心にいくつかのゾーンに区分けされている。

有馬富士とその周辺(国土地理院地図より引用)

 しかし、主要なゾーンはすべて有馬富士の南側。北側にある「有馬富士公園休養ゾーン」は、有馬富士を挟んでポツンと離れている。したがって「有馬富士公園休養ゾーン」ルートの人気がないという以前に、そもそも「有馬富士公園休養ゾーン」自体、存在をあまり知られていない。また知っていたとしても「有馬富士公園休養ゾーン」は、広い芝生とオブジェがあるだけ。訪れる人はランニングや犬の散歩が目的の近隣住民が多い。

 なお「有馬富士公園休養ゾーン」には登山口の大きな看板もあるのだが、端の目立たない場所にあるため、存在感が薄い。

「有馬富士公園休養ゾーン」の目立たないところにある散策路入口
「有馬富士公園休養ゾーン」ルートは整備されているがアップダウンが多い
「有馬富士公園休養ゾーン」ルートとは別のルートにある「わんぱく砦」

 加えて他のルートであれば、眺望のよい岩場である「わんぱく砦」など、見せ場もあるのだが、このルートはひたすらアップダウンを繰り返す、名もなき山々の縦走路。そして「有馬富士公園休養ゾーン」ルートを抜けると、やっと有馬富士登山口といった具合で多少体力が必要になる。

 山頂で出会った、筆者と同じルートでやってきたというビギナー登山客は、有馬富士登山口から少し行ったところにある「一合目」という道標に心が折れそうになったらしい。

■あえて一番人気のないルートを選んだ理由とは?

歩き疲れて肩に乗る猫

 今回あえて最も人気のないルートを選んだのには理由がある。

 一番の理由は、人が多いと猫が怖がるからだ。飼い主である筆者も猫同様、人が少ない静かな登山道が好きである。また他のルートは舗装路が多く、登山気分を十分に味わえない。

 なお、このルートは確かにアップダウンは多いのだが、筆者は息切れすることはまったくなかった。なぜかというと、猫の歩くペースが遅いからだ。

 猫は瞬発力には優れているものの、犬と違ってスタミナがない。性格も飽きっぽいところがある。したがって少し歩けば、疲れて座り込んで「歩きたくないアピール」が始まるのだ。そこで肩に乗せてしばらく歩くと、元気を取り戻してまた歩き出すといった具合で、なかなか前に進まない。一人で歩く時と比べると、だいたい60%くらいのペース。

 頻繁に立ち止まるので、息切れすることもなかったわけだ。

■「有馬富士公園休養ゾーン」ルートから有馬富士へ

「有馬富士公園休養ゾーン」ルート入口の門。開けたら閉めること
「有馬富士公園休養ゾーン」ルート入口にある案内板
「有馬富士公園休養ゾーン」ルートの木々の隙間から花山院菩提寺が見える

 「有馬富士公園休養ゾーン」ルートは、県立公園内ということもあり、道はしっかりと整備されている。廃道への分岐には、通行止めの標識があり、道に迷うことはないだろう。

 ルートは全体的に眺望がよくない。木の隙間から千丈寺湖や花山院菩提寺(かざんいんぼだいじ)が見えるが、休養ゾーンからのほうが、近くてはっきり見える。

「有馬富士公園休養ゾーン」ルートから有馬富士を望む
「有馬富士公園休養ゾーン」ルート出口
「有馬富士公園休養ゾーン」ルートを出ると山麓周遊道に出る。有馬富士登山口はすぐ目の前

 ルートの入口には猪除けの柵があるので、開けたら必ず閉め忘れのないように注意しよう。

 「有馬富士公園休養ゾーン」ルートを抜けると、やっと有馬富士登山口。ここから山頂まではゆっくり歩いても10分程度で登頂できるが、急な岩場の坂である。猫は完全にバテており、猫リュックに入ってしまった。

「有馬富士登山道」は急傾斜の岩場が多い
有馬富士山頂
猫をお供に、有馬富士登頂
有馬富士山頂からの眺望。左奥は六甲山、右下は有馬富士公園南側の中心にある福島大池

 有馬富士は傾斜が急であるため、山頂では足元から絶景が広がる。猫も景色に見とれていたくらいだ。眺望は南側に開けており、北側は木があって見えない。

有馬富士の絶景に飽きて一人遊びを始める猫

●【MAP】有馬富士

●【MAP】有馬富士公園休養ゾーン

●【MAP】有馬富士公園休養ゾーンルート入口