来年の初日の出はどこで見るだろうか? 最も早く見られるのは、小笠原の母島や千葉県の犬吠埼だ。また、富士山山頂からの初日の出もよく知られている。

 来年は少し趣向を変えて、富士五湖の最も西にある本栖湖はどうであろう。この湖を推す理由は、古くから信仰の対象として崇められる富士山から昇る初日の出を見ることができるからだ。しかも本栖湖からは湖の正面に富士山が位置し、特等席からの眺めを贅沢に味わうことができる。また、本栖湖は千円札の裏面で有名な逆さ富士でも知られる美しい湖でもあるのだ。

 さらに、本栖湖から富士宮にかけては見どころが点在しており、正月の富士山ドライブにおすすめである。

 新たな年の日の出を、富士山を前に自然と調和する至福の場所で迎えてはどうだろうか?

■本栖湖って、どんな湖?

 本栖湖は、標高900mに位置し、富士五湖の最も西側にある湖だ。富士五湖の中で最も深く、屈指の透明度を誇り、清らかな水と美しい自然が広がり、四季折々の風景が楽しめる。湖畔には遊歩道があり、富士山を望む絶好のロケーションにある。釣りやボートも楽しめ、観光名所として知られている。湖1周のサイクリングも手軽でおすすめだ。

【基本情報】
住所:山梨県南巨摩郡身延町中ノ倉
駐車場:本栖湖展望公園 駐車場(無料)
トイレ:本栖湖 公衆トイレ(有料)

●【MAP】本栖湖展望公園

■日の出の瞬間を楽しむ

 本栖湖の1月1日の日の出時間は、6時55分だ。遅くとも6時半には現地に到着していたい。当然、冬の早朝なので寒さ対策は必須だ。

 筆者は2019年に訪れたのだが、6時半頃に現地到着すると、薄暗い本栖湖展望公園にはすでに多くの人が集まり、新しい年のすがすがしい日の出を待っている。富士山の方向を見ると、暗い山容の裏側は光で照らされ、シルエットがくっきり浮かび上がり、その瞬間を待ち望む心情をかき立てる。湖は穏やかな静寂の中に神秘的な神聖さが漂っている。

日の出前の富士山(撮影:分銅英雅)

 さあ、日の出の瞬間が近づいてきた。まだ太陽は現れないのだが、富士山上空がどんどんオレンジ色に染まってきて、富士山頂上付近から空に向かって大気を貫くような一筋の輝きが、まるで宇宙へ昇るレーザービームのように見えている。

ビームのような光が現れる日の出直前の富士山(撮影:分銅英雅)

 「あっ、太陽だ!」。日の出の瞬間である。強い光が富士山の左斜面に小さな点として現れた。みるみるうちにその点が大きくなり、太陽の上面が姿を現す。周囲の人たちも、その神々しい姿に感嘆の声を上げる。「今年も良い年でありますように!」と合掌し、お祈りをささげる。

本栖湖から見た富士山からの初日の出(撮影:分銅英雅)

 太陽が昇るにつれ、暗かった空に青みが増してくる。太陽の光が湖面に反射して、光の道ができる。美しい! まるで、今年自分が歩むべき道のようだ。