「ガタンゴトン〜ガタンゴトン〜」、お酒を片手に車窓を眺める鉄道旅。誰でも一度は憧れるのではないだろうか。日本全国には多くの風光明媚な路線があり、ゆっくりと車窓からの景色を眺めながら旅をしてみたいと感じる人も多いはずだ。

グループ用のテーブル席や一人用のカウンター席がある車内(乗車日2022年12月11日)

 そんななか、JR四国では瀬戸内海を眺めながら、ゆったりと移動する観光列車が人気を集めている。路線にまつわる名所の話や、地元の方と一期一会の出会いがあるのも楽しみの一つ。その観光列車の名は「伊予灘(いよなだ)ものがたり」。筆者が2022年12月に「伊予灘ものがたり」へ初乗車してきた様子をご紹介する。

沿線では多くの住民が各所で乗客へのおもてなしをしてくれる(写真提供:JR四国)

■人気の観光列車「伊予灘ものがたり」とは

3号車個室は黄色い車体となっている(乗車日2022年12月11日)

 最初に「伊予灘ものがたり」の基本的な情報を記載しておく。「伊予灘ものがたり」は、愛媛県松山駅と八幡浜(やわたはま)駅を結ぶ(一部松山駅ー伊予大洲(いよおおず)駅間)観光列車である。主に土日祝日に運行され、全車グリーン車指定席。運賃+特急券+グリーン券を事前に購入する(松山駅ー八幡浜駅4330円)必要があるが、発売日に売り切れとなるほどの人気だ。車内は一人用のカウンター席をはじめ、グループ用のテーブル席もある。最後尾3号車は個室「フィオーレスイート」として、1両まるごとを貸し切りにできる贅沢な憧れの席となっている(別途グリーン個室料金が必要)。 

車内ではスイーツの販売もあり、ケーキセット1000円(税込)をいただく(乗車日2022年12月11日)

 車内では、事前予約制の食事・八幡浜編「門田フレンチ〜伊予灘ミニコース〜」5500円(税込)のほかにアルコールやおつまみなどもいただける。なお、お弁当などを含めて、お水やお茶以外の飲食物の持ち込みは禁止されている。

車内ではアテンダントによる丁寧な接客と解説も楽しみの一つだ(写真提供:JR四国)

■出発は始発駅の八幡浜駅から松山駅を目指す!

記念撮影をする乗客に、出発を待つ「伊予灘ものがたり」(乗車日2022年12月11日)

 伊予灘に沈む夕日を目的に、最終便の八幡浜駅16時14分発に乗車して松山駅へ向かった。観光列車「伊予灘ものがたり」には「大州編」「双海編」「八幡浜編」「道後編」の4つのコースプランがあり、筆者は今回、八幡浜駅から松山駅を目指す「道後編」に乗車した。発車時間が近づくにつれて、八幡浜駅は「伊予灘ものがたり」に乗車する人で賑わっていた。

乗車口にはカーペットが敷いてあり、特別感を演出してくれる(乗車日2022年12月11日)

 準備をするアテンダントをはじめ、ホームでは記念写真を撮ったりする乗客など、慌ただしさも感じられる雰囲気だった。

別格な雰囲気がする「伊予灘ものがたり」の案内表(乗車日2022年12月11日)

 車内ではゆったりとしたBGMが流れ、八幡浜駅を発車するとアテンダントによる沿線にまつわるアナウンスが始まる。それは「伊予灘ものがたり」についてだったり、車窓から見える風景のことについてなど、普通列車では知ることのできない、沿線にまつわる物語である。

 綺麗な景色が見える場所では、列車が徐行をしてくれるので、写真撮影をゆったりと行える。右手に大洲城を見たあと、伊予大洲駅に到着した。

車窓から大洲城を見ることができる(乗車日2022年12月11日)