シュラフの下に敷いて使うシュラフマット(スリーピングマット)は、テント泊登山に欠かせないアイテム。シュラフマットには、蛇腹に畳んだり巻いたりして収納するクローズドセルマット、空気を入れて膨らませるエアマット、自動膨張式のインフレーティングマットの3種類がある。

 筆者の家には夫のエアマットと筆者のクローズドセルマットの2種類がある。テント泊は夫と2人で行くことが多いので、いつもこの2つのマットを持っていく。

 この記事では、10年間2種類のシュラフマットを並べてテント泊をしてきて感じた、使い勝手・携行性・寝心地などの比較を記事にしたい。筆者のテント泊登山の頻度は、主に春~秋の月1回程度なので、この点も踏まえて参考にしてほしい。

■筆者の家にある2つのシュラフマットと、購入の決め手

 前述したように、筆者の家には2種類のシュラフマットがある。1つは、サーマレストのクローズドセルマット「ZライトソルS」、もう1つは、マジックマウンテンのエアマット「シエラトレイル120」(現在は廃版)だ。

 筆者は購入時、価格と軽さを重視してZライトソルSを購入した。夫がシエラトレイル120を購入した決め手は、袋に収納してザックに入れられる携行性だったそうだ。

 なお、どちらのマットも2012年頃に購入したもので、当時の価格はわからない。そのため価格の比較はできないが、ZライトソルSの方が安かったことは覚えている。現在でも、クローズドセルマットとエアマットを比較すると、クローズドセルマットの方が安いようだ。

 重さに関しては、ZライトソルSが290g、シエラトレイル120が445gである。

注)本記事で紹介されている「シエラマット120」についての記載は、発売当時「ウレタンフォームエアーマット」として販売されていたことに基づいています。

■使い勝手を比較:準備が早いクローズドセル

 クローズドセルマットを使うときは広げるだけ。片付けのときも蛇腹に畳むか丸めるだけでよい。休憩時にさっと出して使えるのも魅力だ。

 一方エアマットは使用時に袋から出して広げ、膨らませて使う。片付けるときには中の空気を抜いて収納袋に入れる必要がある。

 それぞれ2つのマットで、「広げる」「片付け」にかかる時間を計測した結果は以下のとおり。

・ZライトソルS……「広げる」1秒、「片付ける」5秒

・シエラトレイル120……「広げる」30秒、「片付ける」60秒

 準備と片付けにかかる時間は、クローズドセルマットの方が格段に早い。

■携行性を比較:収納できるエアマット

この取り付け方は、マットが引っかかって危険(撮影:鈴山まき)
マットを平らにして固定すると比較的安全だ(撮影:鈴山まき)
シエラトレイル120はザックに収納できる(撮影:鈴山まき)

 クローズドセルマットの一番の欠点は携行性。エアマットはザックの中に収納できるが、クローズドセルマットはザックに外付けする。これが若干面倒なうえ、取り付け方によってはマットが引っかかって危険だ。

■寝心地を比較:分かれる好み

 筆者はエアマットの浮遊感が苦手で、クローズドセルマットのほうが寝心地がいいと感じている。しかし夫はエアマットの寝心地が好きなので、これは好みの問題だろう。

 凸凹の多い地面で寝たこともあるが、ZライトソルSとシエラトレイル120で比較すると、筆者と夫の感覚では、ZライトソルSの方が若干ではあるが地面の凸凹や温度を感じにくく快適だ。