■ブランドや流行ではなく、道具はつながりで選ぶ

裏山の藪の中からティピの背骨になる木を採取する。アックスを引っ掛けて引っ張り出す

 「ものがたりのある道具が僕は好きなんだよね。ここに来た理由とか経緯のあるものっていうのかな。素敵だなと思う人や、信頼できる人とのつながりの中で僕の元に来たものを使うことが多い。友人からこれいいよって教えてもらったり、使っているのを見て真似して入手することもある。そうやって、使って気持ち良いものを使うようにしてるよ」

アックスだけで木の枝のペグを作る。簡単そうに見えるが多分そうではない

 使う道具をブランドや流行りで選ぶことはない。グレンスフォシュのアックスは、ブッシュクラフト界の重鎮、デイブ・カンタベリーさんとワークショップで一緒になった時に、彼が使っていたものをもらったものだし、カービングナイフも同様に、ウッドカービングの世界的な名手、ヨゲ・スンクヴィストさんからのいただきものなのだそうだ。 

ウッドクラフト用のカービングナイフのセット。中には世界的な名人からもらったものもある

 「この2つはブッシュクラフトの時はいつも持って行くね。僕のパートナーっていうか、守り神みたいな存在なんだ。どこにいても彼らと一緒にキャンプしているような気持ちになれるんだよね。尊敬している人からギフトされたものを使えるってことが嬉しいし、とても幸せなことだと思う」

全て自作したというインディアンティピ。実際に使われているものの最小サイズを模して作ったそうだ

 ブランドやメーカーも含め、その造り手や売り手とのつながりや、ブッシュクラフター仲間とのつながり、その縁から自分の手元に来たもの。そういう縁のあるものばかりを使っているという。

 「顔の見えるものが近くにあると、その人を感じるんだ。どこにいてもひとりぼっちじゃない気がして寂しくないんだよね。笑」