キャンプと聞くと、山や森、川のような自然の中をイメージする人が多いだろう。しかし近年「学校」、正確にいえば学校としては使われなくなった「廃校」がキャンプ場に生まれ変わる事例が増えている。

 なぜ今、廃校を活用したキャンプ場が増えているのか? 廃校を活用したキャンプ場には、どんな魅力があるのか? この記事では、実際に廃校キャンプ場を利用した筆者の視点も踏まえ、廃校キャンプ場について考えていく。

■なぜ廃校がキャンプ場になるのか?

 少子化に伴う児童数の減少等により、毎年約450校程度、学校が廃校になっていると言われている。しかし、廃校は地方公共団体にとっては貴重な財産となっている。

 廃校の活用は地域コミュニティの維持や活性化、雇用の創出、維持管理費等のコスト削減に繋がる。また、学校という建物自体、事業者にとっては「まとまったスペースの活用」「教室ごとに仕切られている」といった管理しやすい空間であり、初期費用の削減、話題性といったさまざまなメリットがある。

 現在、文部科学省では、廃校を利用してほしい地方公共団体と、建物を探している事業者等とのマッチングや情報提供事業を行っている(みんなの廃校プロジェクト)。プロジェクト開始から多くの廃校が福祉施設や工場、道の駅等、さまざまな施設に生まれ変わってきた。

 そんな中、新型コロナウイルス感染拡大の時期に、「密」にならないアクティビティとして注目を集めブームとなったキャンプも廃校の活用事例として注目されているのだ。

●参考資料

令和3年度廃校施設等活用状況実態調査及び余裕教室活用状況実態調査の結果について(令和3年5月1日現在):文部科学省
https://www.mext.go.jp/content/20220331-mxt_sisetujo-000012748_1.pdf

「廃校活用事例集  未来につなごう みんなの廃校プロジェクト」:文部科学省
https://www.mext.go.jp/content/20230331-mxt_sisetujo-000013314_00.pdf

■廃校キャンプ場は初心者&ファミリーキャンパーにこそオススメ

子どもの頃も見たことがない? 校庭に張ったテントから臨む校舎越しの朝日(撮影:k_satoh)

 廃校キャンプ場は、特にキャンプ初心者やファミリーキャンプにこそオススメ。筆者が実際に廃校キャンプ場を利用して感じた3つの理由を紹介する。(以下写真協力:SHINODABASE)

●オススメ理由①【虫が少ない】

 元は学校であるため、一般的なキャンプ場のように奥まった場所ではなく、比較的アクセスのよい場所にあるので行きやすい。「自然に囲まれている」とは言えないが、その分虫は少ない。「キャンプはしたいけど虫は苦手」という人にとってはありがたい環境なのだ。