秋といえば紅葉! 期間限定で色鮮やかに染まる山のなかを歩くのは、登山の醍醐味のひとつ。貴重な紅葉シーズンを最大限に満喫するために、山登りとその麓にある渓谷を見る、または遊歩道を歩いてセットで紅葉を楽しめる欲張りプランを紹介しよう。
■日向山(山梨県)日帰り・標高1,660m
歩行時間:2時間30分 技術:★☆☆☆☆ 体力:★☆☆☆☆
【ここがおすすめ】
1. 山上に広がる白い砂浜
2. 八ヶ岳と市街地を一望
3. 子どもでも登れる軽ハイキング
●概要
日向山は南アルプスの名峰、甲斐駒ヶ岳から延びる尾根の先にある山。山梨県北杜市に登山口があり、首都圏からも車で2時間程度とアクセスが良い。標高1,660mと決して高くない山で、登山口(標高1,120m)までクルマで上がることができ、ゆっくり歩いても往復3時間ほど。初心者や子どもでも周囲の景色を楽しみながら登れる。
そんなお手軽な山ながら、ほかの山にはないユニークな特徴を持つ。それは頂上に白い砂浜が広がっていることだ。山頂部分を覆うのは白い花崗岩なのだが、風化のため脆い砂状になっているというわけだ。
また晴れた日の山頂からは、麓の北杜市街の向こうに八ヶ岳が眺められる絶好の眺望。
山の上に居ながらビーチ気分が味わえ、しかも子どもと一緒に楽ちんに登れるとあり、ファミリーには好条件が揃う山なのだ。
●ルート&見どころ
日向山に登るにはバリエーションルートを除けば、矢立石駐車場から登るしかない。整備が行き届いた登山道なので、会話をしたり、辺りの植生を愛でながら歩ける。20分ほど歩くと、木々に囲まれた開けたスペースがある。道もなだらかで、木漏れ日が美しい。
そこを過ぎると、程よい登りが続く。1時間ほど歩くと勾配が緩くなり、笹に囲まれたなだらかな道に。短い行程ながら変化に富み、ここまでくるとゴールはすぐそこ。
山頂は突如現れる。森を抜けると急に視界が開け、砂浜が広がっており、歩いて散策できるほどのスペースがある。適当なスポットを見つけて座って休もう。せっかくなら正面の八ヶ岳が眺められる場所で休みたい。主峰の赤岳、硫黄岳、阿弥陀岳までしっかりと認識でき、左側にはこんもりとした蓼科山も見える。そして、後ろを振り返れば南アルプスの一座、甲斐駒ヶ岳が佇んでいる。
山頂でゆっくりできるのも日向山の魅力。一通り山頂を散策したら、下山しよう。1時間ほどで登山口に戻れる。
●紅葉ガイド
山頂部と登山道の一部を除いて、山全体はカエデやシラカバなどの広葉樹林に覆われている。赤、黄色に色付いた森はどこを見てもカラフルで美しい。足元のフカフカな紅葉の絨毯を歩きながらの軽快ハイクが楽しめる。