■山で当たり前の雨対策

 筆者は山でさんざん雨に降られてきたと自負している。山頂で撮った記念写真の半分くらいはレインウェア姿だ。それでも、バックパックの中身が雨で濡れた経験は一度もない。

 それは、

・パッキングの際に、絶対に濡れてはいけない着替えなどをビニール袋に入れる。
・雨がぽつぽつ落ちてきたら、早めにレインカバーを付け、レインウェアを着る。
・雨がひどい中を無理に歩かず、歩行中に降られたときは雨宿りできる場所があれば雨宿りをする。小降りになるまでスタートを遅らせる。

 これらを守ることで、山ではバックパックの中身を一度も濡らしたことがないのに、街で水たまりができるほどの被害に遭ってしまったことを恥ずかしく思った。

■街でも雨対策は大切

 「山では一度も……」と言いつつ、街で同じようにしていたかというと、NOである。街では雨対策に全く無頓着だったのだ。確かに、山で着替えを濡らすことは命にかかわる。街では中身を濡らしても命にかかわるわけではない。そう思って雨対策は折り畳み傘を持っていればいいと思っていた。バックパックも登山用のメーカーではなく、両手が自由であればいいとしか考えていなかった。

 しかし、電子機器など「絶対に濡らしてはいけない」ものを持ち歩いている方も多いのではないだろうか。

 昨今の気象状況では、いつ突然の雨に降られるかわからない。出発前に雨雲レーダーで「しばらく雨は降らない」となっていても、途中で急に雨雲が発生することもしばしばなのだ。雨対策は梅雨だけのものではない。そして、雨対策は街でも重要だ。

 そう思っているとき、ふとフードデリバリー配達員のデリバリーバッグを見ると、大きなレインカバーで覆われていた。まだ雨が降っていないのにである。確かに、中に雨水が侵入したら大変だ。雨が降り始めてから、自転車を止めてカバーをかける余裕もないこともあるだろう。

■山でも街でも NGポイントは同じ

 筆者の失敗から、NGポイントをあげてみる。

【NGポイント1】面倒だし、行けるところまで行こう、まだ大丈夫と思うこと・・・初動が肝心。雨がひどくなる前にレインカバーをつけるべき。実は街ではレインカバーを持っていなかった。
【NGポイント2】激しい雨の時に歩くこと・・・大雨の中を歩かない。雨宿りが可能なら少し待とう。
【NGポイント3】何でも、そのままバックパックに放り込むこと・・・濡らしてはいけないものはあらかじめビニール袋に入れておくべき。

現在は、100円ショップで購入したレインカバーを携帯。濡らしたくないものはジッパー付きビニール袋に入れている(撮影:笹田けいこ)

【NGポイント4】ファスナーの閉め方が不十分なこと・・・ファスナータイプはきっちり閉める。左右両方から開けられるタイプでもどちらか片方の端に寄せる。ファスナーのカバー部分をきちんとかぶせる。

傘などを取り出した後、無造作に閉めていたので、このように隙間が空いていたのだと思う。雨水は隙間から入る(撮影:笹田けいこ)
ファスナーは左右どちらかに寄せて隙間がないように閉め、ファスナー保護のカバーをかぶせるのが、雨の被害を防ぐ正しい閉め方(撮影:笹田けいこ)

【NGポイント5】劣化したバックパックを使用したこと・・・今回の最大の原因はこれ。外見からは分からないが、内部は破れたり剥がれたりしていた。劣化していても、レインカバーをかけたりビニール袋に入れたりと雨対策をしていれば、中の物は濡れなかったであろう。

バックパックを裏返してみたところ、内部のビニールが破れていた(撮影:笹田けいこ)
バックパックの内部を横から見たところ。こんなにボロボロでは、雨水がしみこむのは仕方がない(撮影:笹田けいこ)