■賽銭箱の横に寝そべる猫はもはや宮司の貫禄

 訪れると、スマートな白猫がまるで案内役のように、大きな鳥居の前から私たちを御嶽の中へと招き入れてくれた。

 そして、手水舎では蛇口をひねって新鮮な水を流すように促された。お清めを済ませ、社に向かって手を合わせると、お賽銭箱の横には気持ちよさそうに床に寝そべる猫が1匹。その貫禄は神主というよりもはや宮司だ。

 裏手にある社の横の小さな拝所では、神の使いの狐のように丸くなって寝ている白猫がいた。ここの猫たちは、御嶽における自身の役目を心得ているのかもしれない。

見よ。神をも恐れぬ大胆不敵な昼寝っぷり
神聖な社の中に入れるのは彼女だけらしい
拝所の壁にぴったり寄り添って眠っていた

■日本最南端の神社へ

 漲水御嶽の前には石畳の道があり、そこを通って坂をのぼると日本最南端の神社、宮古神社にたどり着く。

 史跡や拝所の多い周辺地域を歩いてみると、オスもメスも白系の猫が多い。

 以前、首里城跡の周辺には白猫が多いという話をしたが、宮古島の中でも神高いといわれているこのエリアに白猫が多いのは単なる偶然とは思えない。もしかすると神社における白装束のようなものなのでは?と、勝手に想像を膨らませたくなるのだ。

宮古島の聖地、漲水御嶽に招き入れてくれた白猫

文/シマネコキネマ 写真/仲程長治