谷町線の四天王寺前夕陽丘駅――。聖徳太子が建立した日本最古の官寺(国公式の寺院)「四天王寺」(593年建立)を中心に神社や寺院が点在し、独特の雰囲気を醸し出している。
今回訪れた「愛染堂勝鬘院(あいぜんどうしょうまんいん)」は、聖徳太子が建てたとされる施薬院があった場所。約1600年前はここに薬草を植え、病人に与える役割を果たしていた。つまり日本初の庶民救済の社会福祉施設だったのだ。
四天王寺前夕陽丘駅5番出口から出て、大阪星光学院の北側の角の細道を左折して少し歩いたら、すぐ右側に赤門が見えてきた。
藥医門をくぐった右側に、樹齢数百年といわれる縁結びの霊木「愛染かつら」がある。……らしいのだが、私は見落としてしまった。正直恋愛祈願には手を出さない主義とはいえ、自らスルーするのと見落とすのはまったく違う! 愛染かつらは毎年夏、美しいオレンジの花を咲かせているそうだし、せめて写真を撮りたかった。ものすごいショックである。暑さで前しか見ていなかった。杭全神社と同じパターンの失敗だ。学べよ私!
前しか見ていなかった私は金堂にまっすぐ進み、まずは「ウン・シッチ・ソワカ」と礼拝。
そして、大阪市最古の木造建造物として国の重要文化財に指定されている「多宝塔」へ。大昔の建物って、なんでこんなに美しいのか……。蛙股(かえるまた)に掘られた十二支の彫刻など細部も凝っているので、行く予定がある方は、ぜひ双眼鏡で見てみよう。双眼鏡がない場合は、スマホカメラのズーム機能で確認できるそうだ。愛染堂の公式サイトから思わぬライフハックを教わってしまった。