■油分を補う料理を考えてみる
そこで考えてみたのが、調理で身に油を補うこと。大きめの個体は、塩焼きや焼きがらし、刺身のようなシンプルな調理法よりも、ムニエルやフライにした方がおいしく食べられるように思います。
しかも、せっかく山岳渓流というシチュエーションを活かすなら、麓で育った米を湧きたての清水で炊いて一緒に食べてみたらどうか。そこに川魚の揚げ物を合わせてみたらどうだろう、ということで、釣りをした沢の河原で「岩魚の天丼」を調理してみることにしました。
■獲れたてを山中でいただく贅沢
出かけたのは、山梨県のとある沢。枝沢から水を汲み(上流に山小屋などの人工物がないか、念のため確認しましょう)、浄水器にかけ、麓の町で育った米を炊きます。これだけでも、もうおいしそうです。
釣ったイワナの中から大きめな個体を数尾キープして、3枚におろします。頭や骨で味噌汁の出汁をとり、胃袋は炒めてから千切りの生姜を加えて甘辛く炊き、つまみにしてフル活用しました。
続いて、コンビニで買った天ぷら粉で揚げていきます。刺身と違い、小骨まで細かくとらなくて揚げてしまえばカリッと食べられる大雑把な感じが、天ぷらの良いところです。
釣れなかった時のために、野菜のかき揚げ用の食材を自宅で切ってきたので、こちらも一緒に油へ投入。小さなフライパンやメスティンを使うと、揚げ焼きするくらいの少量の油で揚げることができます。片付けもペーパーで拭き取る程度で済むので、おすすめです。
この日、この沢に入っていたのは自分たちだけでした。
静かな山中にサラサラと沢の流れる音と、パチパチと油が跳ねる音だけが響きます。こんな最高の食卓、ありますかね。