■2・スペルロンガ
ローマとナポリの中間に位置するスペルロンガのビーチ。夏ともなれば近郊の街から押し寄せるバカンス客であふれかえるのが常だが、5月はまだ人気が少なく、この美しい紺碧の海と真っ白な砂浜を独り占めできるチャンスがある。海に入らずとも、ただ眺めているだけでも心洗われるひとときを過ごすことができるだろう。6月に入ると近隣の住民が集まるようになり、7月から9月中旬まではバカンス客でごった返す。
ビーチだけでなく、近隣には古代遺跡「ティベリウス帝の別荘」 や博物館があり、さらにビーチ沿いの崖の上には「イタリアの最も美しい村」に選ばれた旧市街もある。観光と海の両方を満喫できることに加え、新鮮なシーフードもたっぷり味わうことができる。夕暮れ時の海を眺めつつ、冷えた白ワインとフレッシュな魚介料理を味わうひとときは、一度体験したら病みつきになるはずだ。
■3・オルチャ渓谷
2004年にユネスコ世界文化遺産に登録された、トスカーナ州にあるオルチャ渓谷。なだらかな丘陵地帯に広がる葡萄畑、トスカーナのシンボルである糸杉の並木など、見渡す限り自然美に満ちているこのエリアを訪れるなら、春から初夏にかけてがベストシーズン。もちろん、出来立てのワインが味わえる秋もおすすめなのだが、個人的には花々が咲き乱れる初夏のオルチャ渓谷を散策する楽しさは捨て難いと思う。
このエリアにはワイナリーを兼ねたアグリツーリズモもたくさんあり、街の喧騒を逃れてどっぷり雄大な自然の中に身を置くことができる。世界遺産となっている渓谷一帯には、イタリアの高級赤ワインの代名詞でもあるブルネッロの故郷モンタルチーノをはじめ、中世の小さな町がいくつも点在している。ワインと土地のグルメ、そして雄大な大自然を独り占めできるのがオルチャ渓谷の最大の魅力といっていいだろう。