■4・スポレート 

フィリッポ・リッピの傑作フレスコ画が残るドゥオーモと丘の上に建つアルボルノツィアーナ城

 ウンブリア州のアペニン山脈の丘陵地帯にあるスポレートは、古代時代を起源とするユニークな古都である。中世時代には中部イタリア一帯を支配したスポレート公国の都として栄えた。今も当時の面影が残る旧市街は、急な坂道と迷路のように入り組んだ小道が無数に交差していて、迷子になるのがとても楽しい街でもある。

 丘の頂上にはかつてルクレツィア・ボルジアも住んだアルボルノツィアーナ城が聳えているが、この城の背後には緑豊かな森林が広がっていて、トレッキングにもピッタリの場所である。「せっかくのんびりしに来たのに、歩きまくって疲れるのは嫌!」という人には、旧市街の坂を一気に登れるエスカレーターが街の随所に設置されているのでご安心を。

 見晴らしの良い高台からは旧市街と古代ローマの遺跡、そして周囲の緑のパノラマが見渡せ、爽快な気分を味わえる。歩き疲れたら、中世の情緒たっぷりの旧市街で冷えたドリンクを一杯。そのひとときだけでも旅気分を満喫できるはずだ。

旧市街の丘の頂上に建つアルボルノツィアーナ城の城門前から、スポレート旧市街と周囲の丘陵地帯を見渡す。この城の奥には壮大な谷が広がっている
ドゥオーモの美しいファサードを眺めながら、夕食前のアペリティフを楽しむ。時間を気にせずのんびりと街の空気を体感するには、やはり一泊した方がいい