■火山とはなにか?

 ときに人間の生活を脅かし、ときに様々な恩恵をもたらす火山。その正体について、あくまでブラボーマウンテン流に、ザックリと考察しよう。

●火山噴火の原理

 地表を覆うプレートが大陸の下に沈み込む際に、マントルの一部が溶けてマグマが発生。それがやがて地下で上昇する。上昇することで圧力が減ると、マグマの体積が増えていく。この現象が急速に進行するとマグマが勢いよく火道を上昇し、火口を開いて噴火する。

■地球の歴史に残る火山の大噴火

ラ・ガリータ・カルデラ [約2700万年前]

 アメリカ・コロラド州にある。約2700万年前というのは、恐竜が絶滅した新生代で、現在知られているなかで地球史上最大規模(噴出量5000立方キロメートル)の爆発である。

トバ湖 [約7万3500年前]

 インドネシアのスマトラ島北部の湖。「トバ・カタストロフ」と呼ばれる超巨大爆発は、過去2500万年での世界最大級(噴出量2800立方キロメートル)。

タンボラ山 [1815年]

 インドネシア中南部、スンバワ島にある成層火山。 人類史上世界最大の大噴火とされ、他の厄災も併発させることで、多くの犠牲者が出たという。

ピナトゥボ山 [1991年]

 フィリピンのルソン島西側にある。20世紀に陸上で最大規模の大噴火を起こす。噴火により山の標高は1,745mから1,486mに変化した。

ハワイ島・キラウエア火山のマグマ

■地球と生命の歴史に大きな影響を与え続ける

 「火山」とは、地底にあったマグマが地表もしくは水中に噴出することによってできる地形を指す。言葉に「山」が付くが、カルデラ湖のような窪地も「火山」のなかに含まれる。

 火山の噴火は、地下のマグマが上昇し、それが湧き出す現象である。このときに、膨大なエネルギーが生まれるため噴火するのだ。

 火山は地形や形成のプロセス、内部の構造などにより細かく分類されるが、大まかには次の3つに分けられる。

【複成火山】同じ火口から噴火を繰りかえし、マグマが堆積することで形成される火山
【単成火山】一度だけの噴火で形成される火山
【側火山】複成火山の主火口から離れたところにできる小火山

溶岩流に包まれた樹木が風化され回りの溶岩が残ったものを溶岩樹型という(キラウエア火山)

 また、かつては、「活火山」「休火山」「死火山」と、活動度により分けられることもあったが、休火山や死火山が噴火する例が多くあることから、現在はこの分類はされなくなっている。

 地球にはいくつもの巨大噴火の歴史があり、それが自然環境や、生命の進化などにも大きな影響を与えたと考えられる。

 たとえば、恐竜の絶滅の理由に大噴火を挙げる説もある。また、約7万3500年前頃に発生したトバ湖の大噴火は、大量の火山灰が上空に漂ったため地球の平均気温は5度も低下し、生存していたヒト族の一部は絶滅するなど、生態系に変化を及ぼしたとの学説もある。

 文明の発展後も、人類は火山の噴火に生命を脅かされてきた。1815年(日本は江戸時代後期)のタンボラ山の大噴火は、火砕流のみならず、津波、疫病、飢饉などを引き起こし、約10万人もの命を奪ったとされる。

 一方で、火山は人類に様々な恩恵をもたらす。典型的な例が温泉だが、噴火により独特の景観や、美しい山容などが生まれ、それが魅力的な観光コンテンツになっているケースも数多い。

 また、火山周辺の高い地熱を活用した地熱発電は、環境保全の面から世界的に力が注がれている発電の方法である。

奇跡の絶景 ハワイ島・キラウエア火山噴火とご来光

 

【soto 2021 vol.1 より再編集】