●概要

 奥秩父の名峰で秩父多摩甲斐国立公園内に位置し、南アルプス、富士山、八ヶ岳の眺望がすばらしい人気の山だ。山梨県側ではきんぷさん、長野側ではきんぽうさんと呼ばれる。金峰山へのアプローチは北杜市側の瑞牆(みずがき)山の取り付き瑞牆山荘からのルートや長野県川上村の廻り目平、川上牧丘林道の大弛(おおだるみ)峠を起点とするルートなど数多い。

金峰山頂上部にシンボリックにたたずむ五丈石

 今回は最も登高時間、距離が短い大弛峠起点のルートを紹介する。ちなみに大弛峠は長野、山梨の県境にあり、通行可能な道路としては、日本2位の標高(2,365m)に位置し、これは、富士山スカイライン5合目(2,400m)に続くもの。ちなみに大弛峠は金峰山の他に国師ケ岳、甲武信ヶ岳の登り口にもなっている。

●ルート&見どころ

 起点は大弛峠にある大弛小屋。ここから標高2,531mの金峰山まで標高差は166mほどでアップダウンを繰り返しながらの稜線歩きという趣だ。富士山を望みながら気持ちのいい歩きが続く。朝日峠を越えるとややきつい勾配の林道を行き、展望が開けたらまもなく朝日岳(2,579m)。ここからは急な下りと緩やかな登り。賽の河原と呼ばれる広場に出ると目の前に金峰山、瑞牆山、八ヶ岳が広がり、後方には富士山というパノラマが楽しめる。金峰山はもう目の前。岩場もあるが、歩きやすい道のため2時間余りで頂上へ到着。山頂部に立つ巨大な五丈石がランドマークとなっている。五丈岩周辺は休憩やランチスポットで、360度広がる眺望は見事だ。

針葉樹林帯に建つ大弛小屋

●廻り目平から金峰山へ

 前述のルートは初級者にもオススメできるコースだが、登高感は物足りない印象があるかもしれない。そこでもう一つオススメするのが廻り目平キャンプ場にテント泊して登るルートだ。こちらのキャンプ場は自動車の乗り入れが可能で、調理場、トイレ、シャワーも完備、直火も使える。ここにテントを張り、アタックは空身で臨む。こちらのコースは標高1,570m地点から標高差1,000mを急登する中級向けで、森林限界までは針葉樹林帯を行く。登高タイムは往路約3時間半。復路2時間半。キャンプと登山、両方が楽しめるプランといえよう。廻り目平を起点に金峰山から大弛峠へ下るミックスプランもいい。

●お隣の百名山「瑞牆山」へ

 金峰山の西に見える、いくつもの切り立った岩峰が連なる山、それが瑞牆山だ。みずがきやまと読み、こちらも百名山に指定されている。前述のように金峰山には北杜市側の瑞牆山荘を起点にも登れるが、瑞牆山へもここが起点。初日は金峰山、翌日瑞牆山と百名山を連続で登ることもできる。この場合、両山への分岐点にある富士見平小屋に泊まるのが便利だ。

もう一つの百名山「瑞牆山」へのチャレンジも出来る