■ロープウェイと登山電車を乗り継ぎ、レノン高原へ!

 ユネスコの世界自然遺産に登録されているドロミティは、標高3千メートル超の山々が18峰もあるヨーロッパ東アルプス山脈の一部。そのエリアは広大で、面積は14万ヘクタール以上に及ぶが、登山電車やバスで簡単にアクセスできて、ドロミティの大自然を満喫できるお手軽なスポットがある。

 ボルツァーノからロープウェイと登山電車を乗り継いで一気に標高1,160mのレノン高原へ。爽やかで澄んだ空気を吸いながら、片道約1時間のハイキングが楽しめるコースがある。「Piramidi di Terra di Renon (レノンの大地のピラミッド)」と呼ばれる土柱群の奇観はヨーロッパでも有数の名所として知られているが、その奇観を望むハイキングコースは子どもから高齢者まで難なく歩けるよう整備されていて、「半日だけ街の喧騒から逃れたい」という時にも最適である。

 ボルツァーノの鉄道駅から徒歩10分足らずの所にあるケーブルカーの駅から、まずは標高1,220mの「Soprabolzano (ソプラボルツァーノ)」へ。ボルツァーノ旧市街と周囲の山の斜面を彩る葡萄畑のパノラマを眺めながら、12分間の空中散歩を楽しむ。


ケーブルカーはボルツァーノ=ソプラボルツァーノを往復。ボルツァーノと近郊の町を結ぶバス路線もある。郊外をあちこち見て回りたい人にはお得な乗り放題チケット『MobilCard』が便利
標高差900m以上を12分間で一気に昇っていく

 ソプラボルツァーノへ着くと、ケーブルカーの駅前にレノン鉄道という登山電車の駅が見えた。真っ赤な2両編成の小さな電車は、1907年開業の歴史ある登山電車だ。リュックを背負った高齢者グループ、小さな子ども連れのファミリーと一緒に登山電車に乗り込み、車窓の緑に癒されながら終点のコッラルボまで揺られること20分弱。下車して駅を出るとすぐ、幾つものハイキングコースの道のりを示す標識が目についた。小雨が降ってきたが道は整備されていると聞いたので、ポンチョを被って早速歩き始める。

100年以上の歴史を誇る登山電車レノン鉄道の駅はケーブルカー駅の目の前。遅延もストもなく時刻表通りに運行しているのがいかにもドイツを感じさせる

レノン鉄道の終点Collalbo(コッラルボ)の駅。毎時1本の割合で運行している
 駅前広場から始まるハイキングコースの標識。大地のピラミッドは目玉ルートなので誰にでもわかるようイラスト付きで表示されている