■お市はなぜ越前で自害したのか
NHK大河『どうする家康』で北川景子が演じる、勝ち気で美しいお市。いかにも信長の妹といった感じだ。
ムロツヨシ演じる秀吉が秘かに憧れるなど、早くも伏線が張られている。お市は信長の命で近江の浅井長政と政略結婚し、長政との間に3人の姫を授かる。のちの浅井3姉妹だ。
しかし、長政は信長を裏切り、「小谷城籠城戦」の末に滅亡する。落城寸前に脱出したお市と3姉妹は信長のもとでしばらく平穏に暮らすが、「本能寺の変」が起こり、「清須会議」で柴田勝家と再婚。お市は3姉妹と柴田勝家の居城、越前北の庄城へ引っ越す。
北の庄城は現在の福井県福井市の市街地にあったが、現在お堀などが残っている福井県庁ではなく、もう少し南側となる。現在は商店街の中の柴田神社となっている。
お市らは新生活をスタートさせたが、1年も経たないうちに秀吉と柴田勝家との「賤ケ岳(しずがたけ)の戦い」が起こり、敗走してきた柴田勝家は北の庄城で覚悟を決める。その時、残った家臣らと共に、天守でやけっぱち大宴会を開いたともいわれている。
勝家はお市を秀吉へ引き渡そうとしたが、お市はこれを拒否。37歳のお市は、毛嫌いしていた秀吉に好きなようにされるより、ここで勝家と運命を共にする選択をしたのだ。
こうして、戦国ナンバーワンといわれた美女、お市は波乱の生涯を閉じた。3姉妹は城を出て秀吉に引き取られ、お市の面影がもっとも強かった長女の茶々はその後秀吉の側室・淀殿となる。3女のお江は徳川秀忠に嫁ぎ、2代将軍の正室、さらに3代将軍家光の母になった。
柴田神社はNHK大河の影響もあり、現在参拝客が絶えないが、放送終了後はさらに混雑するかもしれない。戦国ナンバーワン美女、お市が柴田勝家と運命を共にした場所ということで、ここで祈願するとモテるという話が女性の間で広まっている。
300円で専用の「モテ祈願用紙」に願いを書いて奉納できる、女性にとって魅力的なパワースポットだ。
■お市が眠る福井のお寺
お市は死の直前、3姉妹に形見として小さな弁財天像を渡している。それは現在も浅井家の菩提(ぼだい)寺である、京都の養源院に残っている。
柴田勝家とお市の方のお墓は、柴田神社から南西400mにある西光寺にある。戦国の世で男たちの都合に振り回されたお市のような女性は少なくないが、美しさと気高さにおいてお市は際立っていた。そんなお市にまつわるスポットを巡る旅も悪くないのでは。
●柴田神社
・住所 福井県福井市中央1-21-17
・電話番号 0776-23-0849
・ホームページURL https://www.fuku-e.com/spot/detail_1057.html
※営業日時はホームページよりご確認ください
※この記事の情報は2023年3月現在のものです。内容が変更される場合もありますので、最新の情報はリンク先のHPでご確認ください。