■日本三大車窓「姨捨」

●姨捨 10:28着 10:44発

 姨捨はスイッチバック駅だ。昔は列車のブレーキ性能が低く、勾配区間では長く停車できなかったので、駅を水平するためにスイッチバック方式が採用された。スイッチバックの様子は展望車で見ることができる。現在はブレーキ性能も向上したため、スイッチバック駅の多くは廃止され、ここが長野県では唯一となった。列車は一旦停車の後、バック運転で姨捨駅に到着し26分間停車する。

 そして、ここ姨捨は「日本鉄道三大車窓」のひとつに選ばれている。明治時代末に全国各地に鉄道が敷設された中で、群を抜く車窓風景として、根室本線旧線の狩勝峠(北海道)、肥薩線の矢岳越え(九州)、そして信州、篠ノ井線の姨捨の3ヵ所が選定された。

日本三大車窓を眼下に望みながら走る「リゾートビューふるさと」

●松本 11:29着 11:43発

 その後、列車は松本へ。ここで14分間停車する。停車時間を利用して、名物駅弁「大糸線の旅」を購入することに。

 長野県は長寿県として有名だが、「リゾートビューふるさと」がデビューした2010年、大糸線沿線の松川村は男性の平均寿命は82.2歳で日本一だった(厚生労働省発表)。そこで健康と長寿をテーマに作った駅弁が「大糸線の旅」だ。お米は松川村産の紫米と白米を使用し、豚肉、大根、人参、卵、白滝、黒豆、椎茸、油揚げ、瓜、梅などの食材も大糸線沿線産に拘ったもので、もちろん無添加。

大糸線沿線の味が詰め込まれた駅弁「大糸線の旅」(イイダヤ軒)

●穂高 12:03着 12:39発

 松本を出発した列車は、いよいよ大糸線に入る。最初の停車駅である穂高には36分間停車する。改札口には穂高神社の巫女さんがお出迎えしてくれていて、停車時間を利用し神社に参拝することもできる。

穂高駅の駅舎。改札口には巫女さんがお出迎え
穂高神社の境内

 穂高を出た列車は、信濃松川、信濃大町、白馬に停車し、終点の南小谷を目指す。白馬駅を出ると進行方向左側の車窓から白馬三山(白馬岳、杓子岳、白馬鑓ヶ岳)の絶景が望める。ちなみに、駅名は「はくば」だが、主峰の白馬岳は「しろうまだけ」が正式な名称。雪解けの季節になると、代掻き馬の雪形が現れることに由来するのだそうだ。

北アルプス白馬連峰をバックに走るE127系。白馬~信濃森上間

●南小谷 14:04着 

南小谷駅では新宿行き特急「あずさ」号とご対面

 南小谷は「リゾートビューふるさと」の終点だ。ここで大糸線の普通列車に乗り換える。可愛らしい1両編成の列車で、目的地の平岩駅を目指す。

 同じ大糸線でありながら、松本から南小谷まではJR東日本で電化路線なのに対し、南小谷から糸魚川はJR西日本で非電化路線。この区間は乗客数1000人未満の赤字ローカル線に選ばれてしまい、存続が危ぶまれている。

平岩駅付近を走るキハ120形。バックに見えるのはこの日の宿、姫川温泉「ホテル國冨」翠泉閣

平岩駅 14:32到着

 平岩駅に到着した二人は目的の温泉宿へ。部屋から線路の見えるこのホテルで菜々は列車撮影に夢中になっていた。

姫川温泉「ホテル國冨」翠泉閣 http://kunitomi.co.jp/

平岩駅付近を走る大糸線の列車、夏と冬の景色