■いよいよ巨大地下神殿へ

高さ18mの巨大地下神殿(撮影:菅沼とわこ)

 芝生広場にある建屋のドアを開けると巨大地下神殿「調圧水槽」へと続く階段が現れる。そのまま100段近く階段を降りていくと、目の前にコンクリート造りの巨大地下神殿が広がる。

 スタッフからの施設についてや注意事項などの説明の後、10分前後自由に見学や写真撮影が可能。なお、決められた場所から奥へは入ることができないため、人が写り込まない写真や自分だけが写った写真も撮りやすい。

 冬でも外気より気温が高く、ひんやりとする程度であったが、夏は気温が低いものの湿度が高く、ところどころ湿っていることが多いそうだ。

■高さ70m! 迫力満点の「第一立坑」

巨大地下神殿からみた「第一立坑」(撮影:菅沼とわこ)
「第一立坑」からみた巨大地下神殿(撮影:菅沼とわこ)

 「立坑」は、取り入れた水を次に送り込む役割を果たしており、首都圏外郭放水路には、全部で5つの立坑がある。見学では、そのうちの1つ「第一立坑」を見学することができる。

 第一立坑は、川が氾濫しそうになった際、各流入施設から取り込んだ水を江戸川に放水するため、巨大地下神殿である「調圧水槽」に水を送り込む役割がある。そのため、巨大地下神殿と第一立坑、それぞれからそれぞれとつながっている部分を見られる。

 見学にあたっては、安全帯(ハーネス)とヘルメットを着用する。なお、このヘルメットには国土交通省の名前が入っており、一般人が着用することはほぼないとのことで、ヘルメットの着用ひとつとっても貴重な体験であった。

キャットウォークから撮影した第一立坑(撮影:菅沼とわこ)

 いざ、立坑が見える場所まで出ると、遥か下に揺らめく漆黒の水面に吸い込まれそうな恐怖を覚える。ただ、この迫力と感動は他では味わえない。

 何より、隅々まで見渡すとこの巨大なコンクリート造りの施設が街を守るため、人の手によって建造という事実を忘れてしまうほど、すばらしいのだ。

 また、施設を造っただけでなく、日々この施設を維持するためにメンテナンスしている人を思うと頭が下がる。日本の技術力の高さを体感できる場所である。

 「映える写真が撮れる」、きっかけはそれでもいい。毎年のように発生する大雨、洪水に備え、街を守るための施設があること、またそれを造り、維持し、動かす人がいることを知るきっかけになるといい。

●首都圏外郭放水路(龍Q館)

・住所:埼玉県春日部市上金崎720
・電話:048-747-0281

・URL:https://gaikaku.jp/

※営業日時、見学料金はホームページよりご確認ください。

※この記事の情報は2023年3月現在のものです。内容が変更される場合もありますので、最新情報はHPでご確認ください。

写真クレジット:菅沼とわこ