キャンプにはコーヒーが欠かせない。そのようなキャンパーは多いことだろう。こだわりのコーヒー豆をミルで挽いてゆっくりとお湯を注いでいく。そのような優雅なコーヒータイムもいいが、せっかく非日常空間で過ごしているのだから、コーヒーもいつもと違う飲み方をしてみてはいかがだろうか。

 そこでおすすめなのが「カウボーイコーヒー」だ。やかんとコーヒー豆があれば作れるカウボーイコーヒーを、実際に試してみた。

■カウボーイコーヒーとは

 カウボーイハットに破れたジーンズ。腰には拳銃。そのような西部劇に登場するカウボーイたちが飲んでいたと言われる「カウボーイコーヒー」。男気あふれる彼ららしい、実にワイルドな飲み方であり、作り方は実にシンプルだ。

・豆を砕く
・砕いた豆を沸いた湯の中に入れる
・豆を煮出して飲む

 これだけだ。この飲み方には、フィールドコーヒー、ワイルドコーヒーなどの呼び名もある。フィールドコーヒーは、北欧で山仕事をする人たちが飲んでと言われている。

 焚き火にやかんを置いて煮出すことから「焚き火コーヒー」とも言う。国の違い、呼び名の違いはあれ、豆を煮出す飲み方は同じ。ドリップ式とは違う、素朴で粗削りな独特の風味を味わえる。

■いざ、カウボーイコーヒーを作ってみた

 豆を煮出して飲むという、ワイルドな淹れ方に惹かれ、果たしてどんな味なのだろうと、作ってみることにした。

●やかんで水を沸騰させる

カウボーイコーヒーは焚き火で作りたい(撮影:ヒラマツアユコ)

 石を積み上げて焚き火スペースを作り、水を入れたやかんを置く。ひとり分の水量は300mlくらい。

●豆を砕く

この時点でコーヒー豆のいい香りが漂い、ホッとした気分になる(撮影:ヒラマツアユコ)

 お湯を沸かしている間に、持ってきた豆を砕く。筆者は家にあった不要な紙で豆を軽く包み、河原に落ちている石で砕いた。紙は宅配便の緩衝材に使われていた紙である。何かと使えるのでとっておいて損はないと思う。豆を砕くのは、ペグハンマーを使用してもいいが、石の方がよりワイルド感が味わえる。

●粗さは好みで

どの程度まで砕くかは、本人の好み次第(撮影:ヒラマツアユコ)

 筆者はかなり粗めに砕いた。豆の形が残ったままのものもあるが、ワイルドを決め込んでいるので、そこは気にせずおおらかに。

●豆を投入

砕いた豆を一気に入れる(撮影:ヒラマツアユコ)

 お湯が沸騰したら、いったん焚き火からやかんを下ろして砕いた豆を投入する。

●煮込む

再びやかんを焚き火にかける。あっという間に沸騰するので、火は小さめ(撮影:ヒラマツアユコ)
グツグツ煮え立つ豆。苦いのではないかと味が少し心配になる(撮影:ヒラマツアユコ)

 再びやかんを火にかけて沸騰させ、豆をグツグツと煮えたぎらせる。筆者が煮出した時間は6分程度。最初に入れた水の量が少なかったので、あまり時間をかけるとお湯が蒸発してしまうのではと不安になったからだ。煮出す時間は特に決まっていないので、好みで調整しよう。

●沈殿させる

 煮出し終わったら、やかんを火から下ろして5分ほどそのままにしておく。やかんの中の豆が下の方に沈んでいくのを待つためだ。この時に、棒などでやかんの腹を軽く叩くと、豆が早く底の方へ沈んでいくので、量が多い場合はその手を使うのもよいだろう。

●うわずみを飲む

カップにそっと注いでいく(撮影:ヒラマツアユコ)
かなり煮立たせたと思ったが、意外とスッキリした味わいだった(撮影:ヒラマツアユコ)

 豆が沈んで落ち着いてくれたら、カップへ注ぐ。意外と色が薄く、味もあまり苦味はない。少し酸味を感じる気がした。普段はミルクを入れて飲むことが多い筆者だが、何も入れずに美味しく飲めた。

 すでに挽いてある粉状のコーヒー豆を使ってもよい。砕く手間が省けるが、「砕く」という行為がワイルドな雰囲気作りには重要なので、ぜひ豆のまま挑戦していただきたい。