今年の冬は全国各地に大寒波が襲来し、例年以上に厳しい冬のような印象であった。2月も後半にさしかかると、寒さのピークが過ぎ、待ちに待った春の訪れを感じ始める。桜の開花はまだちょっと先だけど、いち早く春の訪れを感じたい。

 東京の汐留エリア。高層ビルが建ち並ぶ最先端のベイエリアに江戸時代から時間の流れが止まったようなスポットがある。それが「浜離宮恩賜庭園」。今、この浜離宮恩賜庭園では一面に広がる菜の花と梅が見ごろを迎えている。

■元々は徳川将軍家の鷹狩場であった浜離宮恩賜庭園

春の訪れを告げる開花

 江戸時代の代表的な大名庭園「浜離宮恩賜庭園」。寛永年間(1624~1644年)までは徳川将軍家の鷹狩場であったが、徳川第3代将軍・家光の三男でもある松平綱重が1654年に4代将軍・家綱から土地を賜り、海を埋め立て屋敷とした。その後、綱重の子、綱豊(家宣)が6代将軍となったのを機に将軍家の別邸となり、浜御殿と称された。以来、歴代の将軍によって造園、改修が行われ、11代将軍・家斉の時代にはほぼ、現在の姿となった。

 明治維新後は、皇室の離宮となり、名称も浜離宮となった。第二次大戦後、東京都に下賜され、整備が行われた後、1946年に公開された。1948年には国の文化財保護法にもとづき、国の名勝及び史跡に、1952年には周囲の水面を含め、国の特別名勝及び特別史跡に指定され、現在まで都民の憩いの場として親しまれている。 

灯台跡からは今、ビル群を見渡す
やわらぐ寒さをより一層、温かみのあるものへと感じさせてくれる

■都心であることを忘れてしまうほどに咲きほこる菜の花と梅 

見渡す限りの菜の花畑の向こうには梅が咲き誇る

 庭園に足を踏み入れると、一瞬にして都心であることを忘れさせるほど、落ち着いた雰囲気に包まれるが、見上げるとそこはやはり江戸ではなく東京。庭園を取り囲むようなビル群と庭園の雰囲気がミスマッチするどころか、なぜか調和されたように感じられる不思議な空間。

 この時期の見どころは何と言っても一面に広がる黄色の菜の花畑と紅、白と見頃を迎えた梅。一気に春の訪れを感じさせる鮮やかで温かみのある花々に囲まれていると、時がたつのを忘れてしまうほど。ようやく冬が終わり、身も心も軽やかに感じられてくる。

白、紅それぞれにちがった趣を見せてくれる
思わず飛び込みたくなる黄色の絨毯

 池を見渡す中島の御茶屋で、季節の和菓子や抹茶をいただきながら、優雅な時間を過ごすのもいいだろう。これからは菜の花と桜もセットで楽しめるという。ようやく暖かくなり始め、外へ出かけるのも楽しくなってくる季節。都会の慌ただしさから抜け出し、浜離宮恩賜庭園で春の訪れを感じてみてはいかがだろうか。

マンホールも浜離宮仕様
慌ただしい都会の中とは思えないほどゆったりとした時間が流れる浜離宮恩賜庭園

出典:公益財団法人東京都公園協会

 

●施設概要

浜離宮恩賜庭園
〒104-0046
東京都中央区浜離宮庭園1-1
TEL 03-3541-0200
開園時間:9:00~17:00(入園は16:30まで)
入園料:一般300円 65歳以上150円
(小学生以下及び都内在住、在学の中学生は無料)

 ●MAP