■2. 乳房山コース【概要とレポート】

本格的な道標が整備され、歩きやすいコースとなっている(撮影:satton♪

 乳房山は小笠原群島での最高峰(463m)で、アップダウンが多い。山頂へ行けるコースは現在、元地の集落から乳房山山頂を往復する西ルート1つのみ。写真を撮ったり休憩したりしながら歩いても、約4時間のコースタイムだ(※周回できるコースだったが、令和元年に東ルートで大規模な崩落があってからは開通していない)。

 元地集落を出発し、戦跡やガジュマルの巨木、東屋などのポイントを通過しながら山頂へ。山頂の見晴らし台では、唯一無二の絶景が楽しめる。

 こちらの山も、登山する前に観光協会に申し込んでおけば、登頂記念証がもらえる。

太平洋戦争中に不要の爆弾が落とされたという跡地で休憩(撮影:satton♪

 登山開始は6時30分頃、歩き始めてすぐにアカガシラカラスバトと出会うが、すぐに逃げてしまった。いまでこそ頻繁に出会えるまでに個体数が回復したが、一時期は絶滅が危ぶまれるほどの存在だった小笠原の固有種だ。

乳房山登山開始早々に出会ったアカガシラカラスバト(撮影:satton♪

 簡素に整備されたコースは歩きやすく、道標通りにいけば迷うことはない。登山口〜爆弾の跡あたりまでは、特に鳥の羽ばたく音とさえずりをたびたび聞いた。

深いジャングルの森は、晴れていれば木漏れ日が美しい(撮影:satton♪

 時期によってさまざまな陸生貝類が見られるが、筆者の行った時期にはアフリカマイマイ以外見つけられなかった。1時間位歩くと、立派なガジュマルの木のトンネルが突然現れる。

 そこから1時間もかからないくらいで、展望地に出てすぐに山頂へ到着した。雲行きが怪しいなと思うと雨が降ってきた。山頂では、母島観光協会で先日もらっておいた登頂の証拠を記すためのキットを使い山頂碑の絵を写し取った。後ほど、これと交換で登頂証明書がもらえるのだ。

見晴らし台から見る大崩湾、奥には東崎の絶景(撮影:satton♪

 雨が本降りになりそうだったため、絶景に後ろ髪を引かれつつも早めに山頂をあとにし、すぐ下の東屋で雨宿りした。往復なので、山頂へ行く前にここへ荷物をデポしてもよさそうだ。

 小雨のうちに急いで下山した。ガジュマルの木を越えてから、登山口の少し手前あたりまでがハハジマメグロのねぐらになっているようだった。朝、鳴き声だけは聞こえていたメグロがピーユ、ピーユと目の前でさえずり、餌を探しながら近くの枝から枝へ羽ばたくのを何度も見かけた。

 10時前に下山できたので、乗船の14時まで「ロース記念館」や「北港」などを観光した。

■希少生物と当たり前に出会える島・母島

希少な鳥ハハジマメグロ(写真提供:小笠原村観光局)

 希少な生き物が当たり前に暮らす母島では、山や森ではもちろん、自転車やバイクでロードを走っている時でも、ハハジマメグロに遭遇できる可能性がある。本当に希少生物なのかと疑ってしまうほどだ。

 ぜひ、1冊は写真付きの図鑑を持っていってほしい。希少生物について事前に調べておけば、出会えた時の喜びも格別だ。

 観光協会でもらえる登頂記念証は、ラミネートしてその場でもらうか、自宅へ郵送してもらうかを選べる。私は郵送を選択したのだが、小笠原旅行から帰って自宅に届いた記念証を見て、小笠原で出会った人々や生き物を鮮明に思い出した。日常生活に戻り、遠い地の便りから非日常の体験を思い出すというのは、とても幸せに感じられた。

●小笠原村観光局

所在地:東京都港区海岸1-4-15 島嶼会館2階(東京諸島観光連盟内)
電話:03-5776-2422

URL:https://www.visitogasawara.com/

※母島までのアクセス方法

 東京・竹芝桟橋からほぼ週に1回の定期船「おがさわら丸」に乗船し約24時間で、父島に到着する。「ははじま丸」に乗り換え、約2時間で母島だ。就航の時間や料金は時期によって異なるため、小笠原海運のホームページまたはパンフレットを確認しよう。

●小笠原母島観光協会HP&アクセス方法:https://hahajima.com/access/

●小笠原海運HP 時刻表・運賃:http://www.ogasawarakaiun.co.jp/service/