小笠原諸島の母島には、悠久の青い海・ボニンブルーに囲まれた海洋島の豊かな自然と、人が共存する楽園がある。

 ボニンとは、日本語の無人(ムニン/ブニン)を語源とする小笠原諸島の英名である。ボニンブルーは、小笠原諸島特有の深く濃い、どこまでも透き通った青色を表現するのに使われている言葉だ。

海しか見えない海上で迎えた朝日(撮影:satton♪

 多くの人は島といったら海のアクティビティを思い浮かべるが、小笠原諸島のジャングルは固有種の動植物と当たり前に出会える楽しさを秘めている。この記事では、ガイドがいなくても散策可能なコースを2つご紹介しよう。

■小笠原諸島・母島とは

カツオドリと海(撮影:satton♪

 東京都心から南に約1000km離れた海上に浮かぶ、ユネスコ世界自然遺産に登録されている小笠原諸島。その玄関口の父島までは「おがさわら丸」にて東京都心から約24時間、そこから「ははじま丸」でさらに2時間ほど揺られ、ようやく母島に到着する。

 夏休みなどの期間を除けば、おがさわら丸の就航はおおむね1週間に一度しかない。民間空港がないため航空機は飛んでいない。ははじま丸はおおむね毎日就航しているが、時間が決まっているのでスケジュール確認と計画が非常に重要だ。

 父島から日帰りで来ることもできるが、夏以外は7時30分父島発・14時母島発の往復1便しかないため約4時間の短い滞在となってしまう。しっかり楽しみたいならぜひ、1泊以上の滞在をおすすめする。

 冬にはザトウクジラが子育てに、初夏にはアオウミガメが産卵にやってくる青い海。母島にしか生息していないメグロなどの鳥がさえずり飛び回る、ヘゴや固有種のマルハチなどの木性シダ類が豊富な森。父島よりさらに自然豊かともいわれる 、絶海の孤島である。