毎年1月2日、3日に開催される「箱根駅伝」1区と10区の主な舞台となるのが、東京と横浜を結ぶ、国道15号線だ。
第一京浜とも呼ばれるこの道路は、旧東海道とも並走しており、沿線には歴史を感じさせるスポットが多々存在する。今回紹介する「品川神社」もその一つだ。
■品川神社の由緒
御祭神は天比理乃咩命(あめのひりのめのみこと)・宇賀之売命(うがのめのみこと)・素盞嗚尊(すさのおのみこと)の3柱。創建したのは、鎌倉幕府初代将軍で知られる源頼朝だった。
鎌倉幕府設立直後の1187年、頼朝は海上交通安全と祈願成就を祈るため、安房国(現在の千葉県館山市付近)の洲崎神社(すのさきじんじゃ)より天比理乃咩命を品川の地に勧請(かんじょう)※ した。これが品川神社の創始である。
※神仏の分身・分霊を他の地に移して祭ること。
1319年には、鎌倉幕府の政所執事を務めた二階堂貞藤(にかいどうさだふじ)が「宇賀之売命」を、さらに1478年には室町後期に活躍した関東地方武将の太田道灌(おおたどうかん)が「素盞嗚尊」を祀ったことで、品川神社は3柱の神様を祀る神社となった。
■品川神社へのアクセス方法
最寄り駅は京浜急行の新馬場(しんばんば)駅。北側の改札口を出て階段を降りると、目の前に交差点がある。そこが神社への入り口がある、北品川三丁目交差点だ。
入り口では、一風変わった鳥居が参拝者を出迎える。これは双龍鳥居と呼ばれており、左には天に昇る龍、右には天より降りる龍が掘られている。鳥居をくぐると、すぐにやや急な傾斜の階段となり、上りきると社殿を目の前にする。
小さくまとまった境内ではあるが、随所に趣を感じさせる。とくに社殿に最も近い鳥居は石造りの鳥居で、奉納は1648年。品川区の指定有形文化財とされており、都内で2番目に古い鳥居であるとのことだ。
品川神社を語るうえで欠かせないのが、境内に隣接している富士塚だ。品川富士という別名を持つこの富士塚は、頂上まで登ることで富士山に登ったのと同じ御利益が得られるというもの。
現在の富士塚は、国道15号線整備の折に今の場所に移設された。
入り口は階段の半ばの脇にある。鳥居をくぐって細い階段を上がっていくと、本物の富士山さながらに五合目で一旦なだらかな場所に出る。
そして六合目からは険しい登山道さながらの、急な岩肌の上を歩くことになった。短い距離ではあるが、富士登山の疑似体験としては十分だろう。
品川神社の階段、そして品川富士からは、箱根駅伝のコースとなる国道15号線がよく見下ろせた。選手が通過する時間にいることができれば、上から見下ろす形で、走っている姿を見ることができる。
しかし、富士塚はあくまで富士山の御利益を得るために上るもの。駅伝観戦を目的としての利用は避けよう。