もう少しで今年も終わり、間もなく新年を迎える。お正月のトラディショナルカードゲームといえば坊主めくり。でもインドアで札をめくっているだけではもったいない。そこで、公園で葉っぱの坊主めくりにチャレンジしてはどうだろうか? たっぷり積もった落ち葉をめくると、そこには国蝶オオムラサキやゴマダラチョウの幼虫が。「イモムシ」のイメージを一新するキュートな彼らに会いに行こう。

■夏の雑木林を彩ったチョウたちは今……

日本の国蝶オオムラサキの♂。この個体は、翅を大きく傷めているが、外敵から身を守って生き抜いてきた勲章ともいえる(撮影:小泉 俊江)
オオムラサキ♀。青紫色の色彩はないものの、堂々とした姿に圧倒される(撮影:わさび)

 夏の雑木林の主役といえば、カブトムシやクワガタムシなどの甲虫類。そして、樹液に集まる大型のチョウ類もそれに加わる。特に、オオムラサキやゴマダラチョウなどの中・大型タテハチョウは、その大きさと色彩ゆえ 他のチョウとは全く違うオーラを放っている。

ゴマダラチョウ。都市の公園でも比較的多く観察できる(撮影:わさび)
特定外来生物に指定されているアカボシゴマダラ。関東の都市部では、最も身近な中型タテハチョウの一種である

 暑い夏が過ぎ、冬がやってきた今、夏を謳歌していた彼らはどのように生活しているのだろうか。

 オオムラサキやゴマダラチョウなどが集まるのはエノキだ。成虫はエノキの葉に卵を産む。それは、幼虫がエノキの葉を食べて育つからだ。晩秋から冬にかけてエノキが落葉すると、幼虫たちは、幹を伝って地面に下りて落ち葉の裏で越冬する。そこは、彼らにとってふかふかの布団のような安住の場所なのだろう。

■エノキを探しに公園へ

エノキは自然豊かな公園なら定番となる樹木の一つだ

 樹木に詳しい方をのぞけば、多くの方はエノキを見分けるのは難しいのではないだろうか。ならば、自然が比較的残されている公園に行ってみよう。なぜなら、公園には、樹木札があるからだ。

樹木札があれば、誰もが簡単にエノキの木を探し出すことができる

 エノキは、大きな公園なら必ずあるといっても過言ではない、雑木林には欠かせない樹木である。榎台・榎が丘・榎橋など、各地に榎(えのき)の名がついている場所は数多い。

 樹木札を頼りにエノキに巡り合えれば、目的の幼虫に出会える確率は高まるはずだ。しかし、エノキの木を見つけたからといって、歓喜のあまりその根元に突進するのは厳禁。そこは、オオムラサキやゴマダラチョウたちの越冬エリアであるからだ。