アウトドアを楽しんでいると、よく目にするスズメバチだが、年間15人前後の死亡被害が出ているのをご存じだろうか。特に秋はスズメバチが凶暴化しているため、注意が必要だ。

 スズメバチの習性を理解できていれば未然に防ぐことができるが、意図せず刺激してしまい刺されてしまうこともある。今回はスズメバチが凶暴化する理由と、刺されてしまった場合の対処方法について紹介する。

■秋にスズメバチが凶暴化するのは、女王バチが理由

何がハチを刺激するのか理解しよう(画像提供:古川 裕司(フルカワ ユウジ))

 スズメバチは春から活動しはじめ、夏から秋にかけて繁殖する。特に秋は、女王バチが卵を産むため、多くのエサが必要になる。女王バチを守ることと、より多くのエサを取るために攻撃性が増すのだ。

 このような時季に誤って巣を刺激したりすると、襲われる確率が高い。秋の終わりになると働きバチの数も減っていくため危険性は減っていくが、依然として注意は必要だ。

■刺されないための対策と、刺された時のために用意すべきモノ

遮蔽物の多い森の中ではハチの巣を見逃すことも多い(撮影:ブラボーマウンテン編集部)

●刺されないための対策

 最も注意すべきは、ハチの巣を刺激しないことだ。ハチの巣を直接刺激しなかったとしても、近くで作業したり振動を与えるだけでも攻撃されることがある。スズメバチは地下の穴や木の中など、閉鎖的な空間や、雨をさえぎる解放空間に巣を作ることが多いため、「スズメバチはそういう場所に巣を作る」ことを頭に入れておけば、そういう場所を避けて通るなど、注意できる。

 もう一つは、黒っぽい服を着ないこと。スズメバチは黒くて動くものに反応する性質がある。眼球の動きなどにも反応するくらい敏感だ。また、匂いにも要注意。香水や整髪料なども付けないようにしよう。これらからわかるように、実はアウトドアを楽しむ準備段階で、工夫できることが多いのだ。

 ハチが近づいてきた場合は、手で払ったり急に動いたりせず、静かにゆっくりと動いて不用意に刺激しないようにしよう。ハチが寄ってきた場合、必ず攻撃されるわけではなく、敵ではないか偵察、威嚇するだけの場合もあるため、やり過ごせるならそれに越したことはない。