■3時間の登山で出会える隠れた名所「不動滝」

大日平山荘の展望台からの「不動滝」と壮大な地形(撮影:ブラボーマウンテン編集部)

 称名滝から大日岳へ向かう登山口へ入ると、今回の目的地「不動滝」へ。牛ノ首までは称名滝に削り取られた谷を登り、急峻な道を進む。ここまでコースタイムで2時間程。牛ノ首から先へしばらく進むと木道が現れ、「大日平(だいにちだいら)」へと入っていく。

木道と湿地へと植生の変化を楽しみながら進む(撮影:ブラボーマウンテン編集部)

 ここからは緩やかな木道が続き、高層湿原が堪能できる。称名滝が流れる称名川の谷を挟んで向こう側に見えるのが「弥陀ヶ原(みだがはら)」だ。

谷にを挟んで向こうに見える台地が弥陀ヶ原(撮影:ブラボーマウンテン編集部)

 弥陀ヶ原と大日平周辺は、ラムサール条約に登録されているエリア。ラムサール条約とは、1971年2月2日にイランのラムサールで開催された国際会議で採択された、湿地の保存に関する国際条約。大日平・弥陀ヶ原は標高1,600〜2,100m付近にあり、国内でも標高が高い場所にある珍しい、希少な湿地帯だ。

 大日平と弥陀ヶ原は一見、称名川の谷を挟んでおり、全く違う場所に思われるかもしれないが、実は成り立ちは同じ。かつての火山噴火による溶岩によって形成された台地が、称名川の水の流れにより長い年月を経て削りとられ、大日平と弥陀ヶ原が分れていった。まさにジオを感じることができるエリアである。

 牛ノ首から1時間ほどで大日平山荘に到着。今回お目当ての「不動滝」は、この大日平山荘のすぐそばから見ることができる。大日平山荘の裏側にある標識を辿り進めば、すぐ展望台だ。

 弥陀ヶ原・大日平と不動滝、そして称名川とその形成された谷を一望することができ、大地が織りなす絶景を堪能できる。筆者が訪れた時期はちょうど紅葉も楽しむことができた。

■10月下旬から11月上旬がおすすめの称名滝周辺

 10月下旬から11月上旬にかけては称名滝付近が紅葉の見頃を迎える。ぜひ、紅葉の称名滝と隠れた名所の不動滝の2本立ての絶景を堪能するハイキングはいかがだろうか。この時期は、防寒対策もしっかりして山へ出かけよう。

 

※この記事の情報は2022年10月現在のものです。内容が変更される場合もありますので、最新の情報はリンク先のHPでご確認ください。